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心の一枚@小金沢連嶺(小金沢山) 2017.12.02(土)~03(日)



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何度訪れたのだろうか。

小金沢連嶺は足繁く通い続けている想い出多き山域の一つである。


大菩薩嶺からの尾根筋に位置した小金沢連嶺は明るくたおやかに伸びている。


連嶺の一つに「白谷ノ丸」と呼ばれる思い入れの強い頂がある。

この頂に立つと御坂越しの秀麗な富士が正面にくる。

左手には山深い道志山塊が累々と連なり、人々の営みを守るが如く扇を広げた巨大な一隻は右手に浮かぶ。

その眺望は2000mを飛ぶ鳥の目線そのものだ。


小さな足跡達が山に遊ぶ白銀の頃は言うまでもなく、笹原を青風が心地よく渡る季節にも心が踊る。
しかし、私が最も心惹かれるのは冬枯れの頃だろう。


さほど労すること無く立てる小金沢連嶺に通うのは、特筆大書すべき大展望に理由があるからに他ならない。





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この日は都内でイベントがあり午後になってから家を出た。

やって来たのは大月市の県営林道真木小金沢線。
林道の途中から幕営予定地が良く見えていた。



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「大峠」(1560m)。
遅い時間であったため他に車の姿は無い。



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15:20、出発。
テン泊装備がずしりと重い。



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登山口近くの小屋に登山者カウンターがあった。
カチャカチャと二人分の入力を終えて歩き始める。



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山梨百名山完登を目論む息子くんと目指したのは、大月市最高地点である小金沢山だ。
以前から何度も計画はあったものの、私の一番好きな季節に泊まりたくて、随分と後回しになってしまった。



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ある程度体力もついてきた事から雪山の計画を練り始め、取り急ぎ冬靴が必要だった。
しかし成長期であるためなかなか購入には踏み切れない。
そこで私が以前使用していた冬靴を試しに履かせてみると、驚いたことにピタリとあった。

私より背は低いのに足のサイズが同じ…こいつでかくなるのかも…



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日は早くも西に傾き、木々の影が長くなる。



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狭い展望の赤岩ノ丸から残照に染まり始めた空に目をやると、富士の頭がわずかに見えていた。



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暗くなるにつれ、森の空気が質量を増して全身に纏わりつく。
すると訳もなく口数は減り、五感が研ぎ澄まされる。



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靴ならしには丁度良い距離と斜度であるはずだ。
夏靴より遥かに重い足を懸命に持ち上げ倒木地帯を抜けて行く。

うん、歩けるようになってきたな。



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光量不足で画が流れるようになった頃...



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16:47、「黒岳」(1988)登頂。
この直後から急激に暗くなり、程なくして互いの顔も見えなくなった。
ヘッデンを取り出すのが面倒だった我々は、スマホの灯りを頼りに下り基調で目的地を目指した。



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17:00、本日の幕営地である「白谷ノ丸」(1920m)到着。



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軽く整地し手早く幕を張る。
風が無かったため設営は簡単だった。



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放射冷却が強く、驚くほどに寒い夜だった。
それでも米を炊いてしょうが焼を食べていると、狭いテントはストーブに火のはぜる食堂のように暖かくなった。

少し靴擦れしたようだ。
テーピングで対処すると問題無いとのことで安心した。



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昇る月を待った。

三脚を立てるのが面倒になり、ピンの甘い一枚を手持ちで撮った。
まともな写真には残さなかったが、月光と街灯で浮かび上がる南アルプスの美しさは、未だ心に鮮明である。



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06:00起床。


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06:25、日の出。
富士山は笠雲を纏っていたが、幕営地は微風のままで朝を迎えた。



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南アルプスと富士山が淡く染まったが、期待していた程のご来光では無かった。
まあこんなもんかと、視線を戻すと…



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あ、サンピラー(太陽柱)だ!



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二人して大騒ぎしながらシャッターを切りまくった。

しかし帰宅後に確認した写真は実につまらない出来映えだった。
やはり心の一枚には敵わない。
あの日の景色は我々だけの宝物である。



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珍しいものが見られて良かったね。
本当に寒い日じゃ無いと見られないんだよ。

気温-11℃。
うっかりシュラフから出しっ放しにしていた水はテント内で全て凍りついていた。



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07:55、さあ出発だ。



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昨日は真っ暗だった森を明るい気持ちで上げて行く。
冬枯れの小金沢連嶺は本当に美しい。



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08:10、再びの「黒岳」。



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今回はスマートではないルート取りになってしまっているが、本来のおすすめは富士山を眺めながらの南下である。
しかしこの日の天候は素晴らしく、ピストンだからこそ、光の移ろいを満喫することができたように思う。



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08:40、「川胡桃沢の頭」(1940m)通過。
昔この辺りで水を採った記憶があるのだが、今でも生きているのだろうか...。



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笹原とカヤトが交互に現れる。
素晴らしい爽快感だ。



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私がこの場所を知ってから、もう25年は経っただろうか。
誰かに教えたい、そして誰かと一緒に歩きたいと願っていた稜線だった。



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初めての相手が息子くんであったことがこの上なく嬉しい。



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09:20、「牛奥ノ雁ヶ腹摺山」(1990m)登頂。



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振り返って黒岳と富士。
こんな日に山にいる人はみんな幸せだね。



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雲取山がひときわ目立つ。

彼がまだ幼かった頃、小袖から日帰りさせたことを思い出した。
あまりの長さに半べそだったっけ。
今なら余裕をもって歩くことができるのだろうか。



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山は子供の成長を教えてくれる。



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これからも、共に歩き同じ頂を踏むことができたなら...

しかしやがて路は分かれ、彼のゴールを見届けることのできないことを私は知っている。
だからこそ願わずにはいられない。

たどり着いたその場所がこの日の空のように明るさに満ち、喜びを分かち合える仲間が側にいることを。



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10:04、「小金沢山」(2014m)登頂。



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また一つ想い出が刻まれた。

『むかし親父と登った山なんだ。』
そんな風に誰かと再訪してくれたら嬉しいな。



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まだ小さいままで居てほしいと願ってしまう背中を撮りつつ進む。



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路のわかれるその日まで、まだもう少し一緒に歩きたい。
見せてあげたい景色はまだまだたくさんあるんだよ。
山のこと以外、教えてあげられることは何も無いけどね。



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13:20、下山。



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逆光な上に何のひねりもない日の丸構図。
結局これが最高の一枚に思えるのだから私はつくづく馬鹿なんだろうと思う。

大峠へ続く林道は、翌日冬季閉鎖となった。

おしまい。


今回も最後までお読み頂きまして、大変ありがとうございました。

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by yama-nobori | 2020-02-25 21:04 | 登山 2017 | Comments(4)
Commented by ねも at 2020-03-13 18:01 x
今ごろですが、あけましておめでとうございます(笑)
小金沢連嶺から南大菩薩、私も大好きです。歩いたのはまだ一度だけですが……
なかなかここまで付き合ってくれる息子さんはいないのでは? 羨ましいを通り越して驚嘆します。ゆたかさんは、それだけでハッピーな人だと思います。
ついにタイムラグが2年以上に! 今が知りたい!!
Commented by ねも at 2020-05-22 10:22 x
お元気ですか?(何か書いてくださいよ、笑)
こんな状況ですが「山がまんなか」の気持ちは大切にしたいと思います。
戦争中も不要不急の旅行を続けた、世界の鉄道乗りまくり屋・宮脇俊三さんの傑作『時刻表昭和史』を再読しました。宮脇さんがご存命なら、現在の状況をどうご覧になったでしょうか?
Commented by yama-nobori at 2020-05-23 19:21
> ねもさん
うわー、コメントありがとうございます。
しっかり生きてますw
そして自分でも驚いたことに自粛してますわ。
週に半分は在宅勤務。
山で生計を立てている仲間たちの葛藤が辛いです・・・

時間がなくてブログ更新できないと嘆いておりましたが、時間のある今でもなんか書けません・・・。
体力激落ちでもう山には登れないかも!?w
Commented by ねも at 2020-05-25 18:46 x
ご返信ありがとうございます。
先週、八ヶ岳の青年小屋に電話したら、来月から営業するそうです。行ってきます、たぶん。
ゆたかさんなら、いくら体力落ちても、普通の中高年よりはずっと元気と保証します(私じゃ信用できない!?)
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