富士山選抜登山のあの日から、早くも2ヶ月あまりが経過した。 メンバーの日程調整を義兄に任せていたが動きが鈍く、夏山シーズンも既に後半となっていたが回答が得られずにいた。 これはマズイ。 このままでは山が逃げてしまう。 義兄には「50歳という人生の節目に富士山に登りたい。」という大義名分があった。 しかし他のメンバー 天気図を睨み、「義兄だけでも」と打診するとようやく日程が決まる。 結果、メンバーは本人と暇を持て余している息子くんだけ 富士山選抜登山の記事へはこちらからどうぞ。 水ヶ塚公園駐車場で前入りを行い、出発時間を設定して眠りについた。 目覚めると朝日に染まる富士の姿があった。 悪い予報では無かったが、山頂部には雲がべったりと貼り付いている。 車内には陽気な注意喚起ビデオが多言語で流されており、これから日本一に登るのだという気概は微塵も感じる取ることができない。 最短ルートである富士宮から登り初日に登頂する計画もあったが、岩場と人が多く時間が読みにくい事を嫌ってこれを避けた。 まずは宝永山方向へと緩やかに下げて行く。 利用するのは近年脚光を浴びるようになった第5のコース、いわゆるプリンスルートである。 時間帯が良かったのだろうか、他に登山者の姿は見当たらない。 宝永山第一火口底までやってくると強い向かい風が吹き付けてきた。 相変わらず山頂部は雲に覆われている。 登りに差し掛かると数組のパーティーが降りてきた。 そして口々に、「風が強くて絶対に登れない。」「危険だ。撤退するしかない。」と口を揃える。 見上げたルートの直上には、不気味な笠雲が刻一刻と姿を変えながら渦巻いている。 手の届きそうな距離で笠雲を見上げたのはこの日が初めてだった。 山頂部は間違いなく大荒れなのだろう。 徐々に強まる風を受けながら、まず私が馬の背に立った。 果たしてその場所は、耐風姿勢無くしては立っていることのできない爆風が吹いていた。 飛んでくる火山礫で、まともに目を開けていられない。 万が一飛ばされても東側は砂礫帯の緩い斜面だ。 怪我の心配はないだろうと判断して決行を決めた。 100m程先まで進むことができれば山陰に入り風を避けられるだろう。 義兄...頑張れw 08:10、なんとか無事に山陰に逃げこむことができたが、全員揃って穴という穴の全てが真っ黒になった。 髪からも大量の火山礫が落ちてくる。 吐き出した唾も真っ黒だった。 東斜面に入ると、予想通り風は穏やかになった。 ここまで登ってくることができれば、目指すわらじ館はさほど遠くはない。 大砂走りを逆走で直登するか、ゆるくプリンスルートで進むか息子くんに選ばせると前者に決まる。 息子くんは高山病に強い。 義兄はどうなのだろうか。 今のところ足取りはしっかりとしており、まずは一安心。 下界からの富士はどんな風に見えているのだろう。 刻一刻と姿を変える雲は、間もなく目線の高さとなった。 酸欠になるから弾丸トークはほどほどにね。 標高3000mを超えた。 さあ、あと少し。 うるさいの連れてきました~。 鍋焼きうどんが美味い。 受付を済ませ、Mさんの話を聞いて驚いた。 4つある登山道の内、なんと3本が登山禁止になったのだと聞かされたからだ。 体感30mと見積もった宝永山の風は、突発的に35mを記録したのだと下山後に知らされた。 知人の敏腕ガイドも9合目で撤退を決めたというのだから、この日の風は凄まじかったのである。 翌朝のお弁当を選び、寝床を確保してしまえばもうやることは無い。 早速飲み始めると、持ち込んだ酒はすぐに底を尽いた。 小屋に貢献すべく、ワイン2本と日本酒を追加する。 驚いた事に、今シーズンでワインが売れたのは、この日が初めてだったのだそうだ。 居合わせた若者達を巻き込み楽しく飲んだ。 彼らはこの日の山頂ピストンを決行しようとしていたが、安全のため、明日にした方が良いと説き伏せた。 オーナーは実に魅力的な人物だ。 富士山で山小屋を経営することになった経緯や、この山故の特殊性など、興味深い数々の話を聞かせてくれた。 Mさんの恨めしそうな視線がチクリと痛い。 翌日の天候はまずまずだ。 食後は小屋番さん達と
by yama-nobori
| 2018-10-16 20:48
| 登山 2017
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