白砂青松ここに極まれり②@離山 2017.07.08(土)~09(日)



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核心部に突入する第二部のスタートです。

第一部の記事へはこちらからどうぞ。






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狭い第Ⅴ峰ピークを後にする。



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森はいよいよ美しさを増した。
一葉欄や咲き始めたばかりのコイワカガミの群生が足元に彩りを添える。
靴底を押し返す柔らかな地面に、南アルプスの健全さを想う。



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美林に酔いつつ痩せ尾根を進んで行くと、それは唐突に現れた。



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現れたのは、離山を目指す多くの登山者達がロープを使用する、垂直に切れ落ちた最初の関門だった。



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スラブに走るバンドに足を乗せ、僅かに生えた木を掴み慎重に降りて行く。



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落ち葉が堆積しており滑りやすい。
崩落した岩盤を思い出しては足がすくんだ。



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第Ⅳ峰へは標高差の大きな登りとなる。
コルから見上げた進むべき尾根は、まさに緑の壁だった。



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左手の風化した岩に取り付き第Ⅳ峰を目指す。



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足場の悪い沢地形を這う様に登る。



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ゴゼンタチバナ・マイヅルソウの静けさに鼓動だけが高い。
藪が増えてきたため、ヘルメットを装備した。



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登り続け、標高2230mで視界が得られた。
第Ⅳ峰かと思い地形図を広げたが、やや手前の単なる小ピークであることがわかり肩を落とす。



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なるほど、あれが第Ⅳ峰か。
再びやや下げ、そして上げる。



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斜度は強いが木々がしっかりと根を下ろしており危険箇所は無い。



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落ちる心配の無い安心感が、登りの辛さや藪の鬱陶しさを優に凌ぐようになった。



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11:45、第Ⅳ峰(2290m)到着。
狭いが幕営可能であると記録を残した。



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次に目指す第Ⅲ峰がガスの中に浮かび上がる。
他山から離山を俯瞰した際、最も落差の大きなギャップだと認識していた通過点が、いよいよ間近に迫ったのである。



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コルを目指して落ちて行く。



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進むべきルートを見極めつつトラバースで進む。
高度を保ちながら右手の岩を巻き続けるのが正解だ。



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この後しばらく撮影する余裕が無くなった。
一旦安全な場所が現れほっとしたのもつかの間、すぐに風化した悪相花崗岩の下りが始まったのである。



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降りてきた第Ⅳ峰側の巨大な花崗岩を振り返る。
幅は広いがルート取りの限られる難しい行程だった。



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コルで一息いれた後、第Ⅲ峰へ向かう。
進行方向には悪相の巨大スラブが立ち塞がり行く手を阻んでいた。



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ここでルーファイを誤った。
悪相スラブを避けるため、コルのすぐ左手にあった比較的取り付きやすいトラバースに手を出し進退窮まったのだ。
仕方なく、ようやく登った急斜面を肝を冷やしながら引き返した。



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一旦戻り、一つ上の小さなスラブを乗越し基部を進むと正解があった。
ハングした岩に右頭上を押さえられ、息苦しくこれを通過する。



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右手の巨岩に沿って登り続けた。



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巨岩を巻き終えると前方が開けた。
到達したのは、狭い第Ⅲ・Ⅱ峰のコルだった。



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T氏は巻いてしまった第Ⅲ峰からの景色が気になったらしく、きっちりピークを踏むことにしたようだ。
私はやや体が重く感じるようになり、するすると登って行くT氏をコルで待った。



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第Ⅲ峰は白砂の平場がある幕営適地である。
友人から写真を借りることができたので貼っておく。



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『良い感じで開けてましたわ。』
危なげなくT氏が下りてきた。



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進行方向は第Ⅱ峰が高い壁になっていた。
無論、登攀は不可能であるため尾根伝いには進めない。



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ここは先人の記録に従い、コルの北西にある両側から岩の迫る砂の傾斜地を降りていくことにする。



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傾斜の10m程先には1m四方の穴が口を開けており、遥か数百m下に広がる樹林帯が見えていた。



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足を滑らせ、穴から空に放り出される妄想が身体を固くする。

せっかく持って来ているのだからと、T氏がロープを出した。
カラマツの巨木があり、良い支点となった。



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無事に通過しロープの回収を終えた。
第Ⅱ峰は、今回のルート上で初めてとなる赤薙沢側から巻いて行く。



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右下は断崖絶壁だ。
互いに距離を取りつつ、トラバース可能な足場を求めて下げて行く。



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長いトラバースを進んで行くと、第Ⅱ・Ⅰ峰のコルがようやく近づいてきた。



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やや登り返してコルに立つ。
第Ⅱ峰を巻き終えたのだ。

次にホールドに乏しい高さ3m程の風化した岩を登る。



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これをクリアできれば、離山最高点はもう目の前だ。



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13:40、第Ⅰ峰(2310m)・最高点に立った。
幕営適地の誘惑を振り払い通過する。



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進行方向である南側を覗き込むと、そこは風化した花崗岩が見事な造形を競い合う露岩帯の楽園だった。
明るく広い安全な場所にでられたことが、心から嬉しい。



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これまでの疲れはどこかに消え去り、しばし自然の造形美を楽しむことにした。



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ミツクチ沢の大崩壊地が見えている。
目指す地蔵岳はガスの中にいるようだ。



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展望は無くても良いのだと進んできた我々だった。
しかし特異な奇岩の立ち並ぶ白ザレの別天地に身を置くと心がぶれ始めた。
容易く訪れることのできない場所であれば尚更だ。

『残念だね。』

素直な言葉が重なった。



いよいよ離山本峰へ向かう。



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急な砂地を下りていく。



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下降の途中、通称「モアイ岩」と呼ばれるオブジェや風化の進んだ奇岩が気になり幾度となく足を止めた。



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コルまで下がり第Ⅰ峰を振り返る。

この場所を気に入ったT氏はなかなか立ち去ろうとしなかった。
私は本峰が気になり一人先行を開始する。



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登り始めると多少藪の煩い箇所もあったが、足元はしっかりとしており危険箇所は存在しなかった。
滑落の恐怖からようやく解放されたのだ。



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薄い藪を掻き分けていると、あまりにも呆気なく白砂の大地に放り出された。
砂地に足を取られながらその場所を探す。



三角点も山頂標も無い。
労した時間と行程とはあまりにも不釣り合いな赤テープだけが、その場所であると教えてくれた。

14:20、ついに離山本峰(2307m)に立つことができたのだ。
明るいその場所で風に吹かれていると、心に温かいものがこみ上げてきた。



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この時を境に、いつか登りたいと憧れ続けた難峰は、登頂したことのある一座へと昇華した。
離山を探すたびにいつも感じていた、あの憧れと不安が無くなることが、嬉しくもあり寂しくもあった。



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これからは誇らしい気持ちで探すのだろう。
南アルプス北部を代表するオブジェのすぐ下にある、さして目立つことのない、誰も見向きもしない小さな山群を。



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一人感慨にふけっていた時、奇跡が起きた。



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急速にガスが抜け、遥か遠くに、見間違うはずの無い小さな尖塔が見えたのだ。
思わず大声でT氏を呼んだ。



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地蔵岳露岩ピーク(2700m)の右に姿を現したのは、鳳凰山地蔵岳、あのオベリスクだった。



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ガス抜けは更に進み、見慣れぬ角度からの高嶺(2779m)が姿を現すと、十分過ぎる達成感で満たされ動けなくなった。

目指す稜線はまだ遥かに遠い。
しかし先を急ぐ気にはなれずにいた。

白砂青松ここに極まれり。
心に沁みる、感無量の絶景だったのだ。



第三部の記事へはこちらからどうぞ。


今回も最後までお読み頂きまして、大変ありがとうございました。

おしまい。

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by yama-nobori | 2018-06-27 22:27 | 登山 2017 | Comments(0)
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