まさかここまで更新が遅れてしまうとは...。 ダイジェスト版の記事へはこちらからどうぞ。 天候に対する予備日を設定することができないばかりか、一泊では北岳に登るだけで精一杯な登山者が大半だろう。 芦安と奈良田の混雑度合いは年々激しさを増し、毎年入山を躊躇するほどになってきた。 しかもこの時期は、シーズンの到来を首を長くして待っている登山者達に加え、あるものが更なる混雑に拍車をかける。 そう、北岳の固有種である「キタダケソウ」が短い花期を迎えるからだ。 しかしこの年(2017年)、ようやく 金曜日の開通が、ついに発表されたのである。 というわけで、早々に会社 息子くんを寝かしつけ、南ア南部マニアの変態高校生のSくんと 周囲にもいくつか似たような時間を過ごしているパーティーがあり、案の定知った顔がちらほらあった。 いよいよ始まるシーズンに、みんな興奮気味に良い時間を過ごしていたようだ。 仕事で遅くなってから到着したNくんを叩き起こしてメンバーが顔を会わせた。 初日とは言え流石に平日、さほど混み合うこともなく先頭にザックをデポしタクシーを待った。 定位置で並んでいると、山オーラ全開な女性に声をかけられ大いに盛り上がった。 Sさんはガイド業の傍ら黒戸の七丈小屋などでも働いており、どうやら私の友人達とも繋がりがあるようだ。 山の世界は驚くほど狭い。 嶺朋(れいほう)ルートから北岳を日帰りするつもりだがどう思うかと尋ねられたので、流石に残雪が厳しいだろうと伝えると八本場からの一般道へ変更したようだ。 04:40、タクシー到着。 めでたくこの年最初の乗客となることができて実に良い気分である。 それにしても空いている。 平日運行のなんと素晴らしいことか。
さっそくいつもの場所へ移動すると、目指す頂が良く見えていた。 息子くんは3年ぶりとなる2度目の北岳だ。 頑張れよ。 広河原山荘のIさんへ今年もよろしくと挨拶を済ませ身支度を整えた。 我々の計画は大樺沢から右俣ルートを登り肩の小屋でテン泊する一泊二日の行程である。 日帰りであるSさんは一足先に出発していった。 意外にも、この木のことを息子くんが覚えていたことがとても嬉しかった。 キタダケソウをまだ見たことがないのだというNさんは、この日をとても楽しみにしてくれていたようだ。 新緑の煌めきが心に染みる。 当たり前に巡る季節が心から嬉しい。 普段混雑する登山道はほぼ貸切状態だった。 美しい景色に何度も足を止めながら、ゆったりとした気持ちで登山道を楽しんだ。 右岸へ渡る。 するとコントラストの美しい景観が現れ、アルペンムードが一気に高まった。 前回は彼が幼かったこともあり、営業小屋のある安心感から御池小屋ルートを利用した。 けれど、こっちの方が断然気持ちいいんだよ。 雪が隠れてるから気を付けろよ。 ここは少しきついよね。 がんばれ! 左岸へ渡り少し休憩をとった。 少し進むと程なくして雪渓が現れた。 見渡す範囲に人の姿がない。 初日だとは思えない稀有な光景にテンションが上がる。 ここが大樺沢大雪渓。 パパが初めて歩いた雪渓なんだよ。 雪渓の末端はシュルンドが口を開けており警戒したが、少し進むと状態が良くなった。 我々だけの大雪渓を縦横無尽に上げて行く。 ビビりの息子くんは僅かに出ていた夏道が安心らしい。 雪渓の方が涼しくて気持ち良いのにな。 最高の気分だね。 09:15、二股到着。 ここでしっかりと休憩をとった。 右股に入る。 肩の小屋までCT3.0h。 ここからが頑張りどころである。 ジグの切られた登山道でゆっくりと上げながら適度に休憩をとる。 あれれ。 ちょっとガスが出てきちゃったね。 でも今日は小屋までだしまあいいか。 焦らずのんびりと行きましょう。 というわけで、ぷしゅ。 北岳はNくんとの出会いの山。 この山がきっかけで、一体何人の友人ができたのだろう。 稜線まではあと一踏ん張りだ。 陽当たりの良いところは雪が消えており、アイゼンは携行していたが終始使用することなく登ることができた。 間もなく以前息子くんと歩いた白根御池小屋からのルートと合流となる。 そっか、覚えてたんだね。 なんだか嬉しいなぁ。 あと少しですよ! がんば。 前回はキンバイが見事な時期で、写真をたくさん撮ったよね。 さあ、いよいよ稜線だ。 あの日見た景色が今日も出迎えてくれるかな。 みんなもお疲れさま! そう、それが仙丈ヶ岳だよ。 なんとか見えていて良かったな。 ガスが多くても稜線はやはり気分が良い。 まだ数の少ない高山植物達が、登山道を飾るブーケのように咲いていた。 少し進むとSさんが周回を終えて降りてきた。 流石に早いですね。 キタタゲソウには会えましたか? またどこかでお会いいたしましょう! さあ、肩の小屋に向かおうか... んんん? 少し進むと岩の上に立つ人影に気がついた。 お、あの 『遅いっすよ。立ち止まって何やってたんすか。』 出迎えてくれたのは、近所の変態T氏だった。 彼は6月の頭に小屋開けスタッフとして入山し、延々と続く雪掘り作業の様子などを連日教えてくれていた。 久しぶりの再会が嬉しい。 今日は楽しい夜になりそうだ。 この日変態高校生Sくんが稜線で放った言葉が、今でも私とT氏の間では語り草となっている。 『わぁ~!双児山が見えてますよ!』 あれを同定できるやつは一部のマニアだけだろう。 年相応に仙丈とか甲斐駒を喜んでくれよ。 それから、富士山をわざわざ『不二』って書くこだわり…恐いんだよ(笑) そかそか。 この場所もちゃんと覚えてたんだね。 でもお前はもう少し山のこと勉強したほうがいいぞ。 今年の夏は鳳凰小屋で小屋番デビューなんだろう? Nさんは小屋泊、野郎共はテント泊の受付を済ませた。 おつかれさま。 余談ではあるがこの場所の標高は3010mだ。 このわずか「10m」の違いに拘るやつは間違いなく変態でうんちくが長いので、近寄らない方が賢明だろう。 今年もよろしくお願いいたします! 例によって、小屋には殆どお金落としませんけどね(笑) 新入りの小屋番くんを捕まえてカメラマンに任命、記念撮影を行った。 さあテント張ってのんびりしよう。 正規のテン場はガッツリ雪の下。 そんな訳で登山道脇に各々マイホームを建てた。 やることを終えたら向かう先はただ一つ。 青空が戻ってきたけれど興味無し。 さ~、飲むぞ~! 第二部の記事へはこちらからどうぞ。
by yama-nobori
| 2018-06-07 21:11
| 登山 2017
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