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最初の一歩@城山 2017.05.06(土)



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城山(しろやま)は、神奈川県相模原市緑区にある標高375mの里山である。
同名山が多いことから津久井城山(つくいしろやま)とも呼ばれているが、私にとっての城山は、この一座しか無い。





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大きな山には行く気になれず、気怠い朝を迎え再び布団をかぶる。
このままのんびり過ごすのも悪くは無いなと思いつつも、晴れた日に屋内にいることは、この上なく精神衛生上よろしくないことを良く知っていた。

重い腰を上げて考える。
さて、どこへ登ろうか。

そして一年程前に急に思い立って登ったあの山を思い出した。

一年程前の記事へはこちらからどうぞ。

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ちょっとしたお楽しみ道具を取りまとめ、息子くんと共にバイクに跨った。
訪れたのは、実家近くの津久井湖畔。



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08:50、城山へ取り付いた。
山頂までの比高は僅かに180mである。



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城山は私が生まれて初めて登った故郷の里山だ。



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あまりに近くて機会を逃してきたが、息子くんを案内する日がようやく訪れたのである。



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すっかり整備され、昔とは随分と様子が変わってしまったが、記憶の中の城山を語ってあげようと歩き始める。



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もっと幼い内に連れてきておけば良かったかな。
たくさん話しがしたいのに、ぐんぐん先に進んでしまう。

すっかり大きくなった彼の背中を追って行く。



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父に手を引かれ、体をいっぱいに使って乗り越えた小さな岩場をいとも簡単に越えて行く。
私はなんだか嬉しくて仕方がない。



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時折、彼と幼かった自分の姿とが重なり、父の記憶の中を歩いているかのような不思議な感覚を味わった。



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ここにはかつて津久井城があったんだよ。
だから城山って言うんだ。



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昔はあの橋も無くて森はもっと豊かだったんだ。
だけど空気も川も今よりずっと汚くて、未舗装路が多くて道路は砂埃が凄かったんだよ。



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クーラーもビデオも携帯も無い時代だったけれど、暗くなるまで遊びまくっていつも体中擦り傷だらけだったんだ。



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この池は枯れることがないんだよ。
戦国時代には、ここで刀を研いだんだってさ。



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あっちには大きな杉の木があったんだけど火事で焼けちゃった。
見せたかったなぁ。



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今日の丹沢は霞んじゃってるね。



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ここは飯縄神社。
山頂はもうすぐだよ。


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中学・高校の春の遠足はいつも城山だったんだ。
その頃は、山登りなんて何が面白いのか全然わからなかったよ。



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息子くんへ登山は好きかと尋ねれば、「うん」と答えてくれることは知っている。
それでも同じ質問を繰り返す。

「山に登るの楽しいか?」
「うん」

じんわりと嬉しい気持ちがこみ上げてくる。



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それは敵を足止めるす為の曲輪跡や土塁、堀切だよ。



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うん、そこが山頂だ。

09:30、「城山」(375m)登頂。



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あっと言う間だね!と息子くん。
パパが子供の頃はものすごく疲れたんだぞ。

私にとっての登山は、長い間山菜採りが目的だった。
そして今は...う~ん、なんで登ってるんだろうか。

息子くんは登山の何が好きなんだろう。



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今日はのんびり過ごすために玩具を持ってきた。
取出したのはネイチャーストーブ。
小枝を燃料として、二次燃焼による強力な火力を得ることのできる優れものだ。

さあ、枝を集めてきておくれ。



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煙が消え二次燃焼が始まれば最大火力。



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思いの外短時間で沸騰したお湯に息子くんが目を丸くする。



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煙臭くなりながら一緒に飲んだ珈琲がことの外美味かった。
柏餅も美味しかったね。



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下山は少しルートを変えた。



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この日はとうとう、正面からの写真を撮ることができなかった。



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下りてくると家族連れでBBQ施設が賑やかだった。
たまにはああいうところを利用するのも手軽でいいねと言うと、「あんなの家のご飯と同じじゃん。混んでるし嫌だよ。」と息子くん。



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全くもって同感だった。
私も人のいない場所で野営をし、焚き火で焦がし過ぎた肉と、いい加減な水加減で毎回炊きあがりの違う、おこげのあるご飯の方がずっと良い。



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鮎釣り一筋の父に連れられて、幼い頃の休日は全て川に居た。
父はいつも河原で食べる飯が一番美味いと言っていたが、私にとっての一番は、結局山になった。



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夕飯は冷凍庫にあった安物の肉を、山で集めてきた松ぼっくりで焼いて食べた。
息子くんはどこで食べる飯が一番になるんだろう。
結局父と同じことを私もしているんだなと気が付いた、かけがえのない、平凡な週末の思い出である。



おしまい。

今回も最後までお読みいただきまして大変ありがとうございました。



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by yama-nobori | 2018-01-29 22:42 | 登山 2017 | Comments(0)
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