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息子くんの宿題①@天狗岳 2017.02.12(日)



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八ヶ岳連峰は、夏沢峠を境に南八ヶ岳と北八ヶ岳に分けられる。
天狗岳(てんぐだけ)は、北八ヶ岳の最高峰となる双耳峰であり、それぞれを東天狗岳(2645m)、西天狗岳(2646m)と呼ぶ。
標高の高い位置まで車道が伸びており、比較的楽に登頂することが可能なため、八ヶ岳の中でも季節を通して登山者が多い山である。






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今回のルートは渋の湯を起点とし、黒百合平から中山峠を経て西尾根から下山する周回コースである。
夏山シーズン中は危険箇所の少ない一般道となるが、厳冬期の西尾根についてはトレースが期待できないことから安易に利用しない方が良いだろう。




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Sくん(左)からお誘いがあり、息子くんでも問題なさそうな八ヶ岳に登ることにした。
ダメ元でSくん(右)に声をかけると快く参加が決まり、なんと車まで出してもらえることとなった。

ちなみに左のSくんは先週も武尊山で行動を共にした原始人で、右のSくんは赤岳鉱泉で飲んだくれた駄目な大人の一派である。
「Sくん」がダブって鬱陶しいのでわかりにくいので、呼称は記事の中で決めて行きたいと思う。
息子くんは例のふなっしーを連れて行くのだそうだ。

早朝5:00。
我が家の近くで合流し山梨へと向かう。



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南アルプス好きな両Sくん達はやたらと気が合うらしく、初対面とは思えぬほどに盛り上がっている。
我々もちょいちょいと会話に首を突っ込んでいると、車はあっという間に甲府盆地に向かって落ち始め……たのと同時に、車内は野郎共の歓声ならぬ奇声に包まれた。
南アルプスを愛して止まない我々の目の前に、蒼氓の色に浮かぶ白銀の白峰三山が現れたのである。



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興奮はなおも続く。
笊ヶ岳を見送り、鳳凰の横に現れたパール甲斐駒ヶ岳でそれは最高潮となった。
写真好きなSくんはハンドルから手を離すことが出来ずに身悶える。
我々にとって、この季節の中央道の朝は登山よりも熱い。




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この日の行程は比較的長い。
加えて日曜日でもあったため、一刻も早く入山し下山したかった。
しかし甲斐駒がモルゲンに染まりだすと、たまらずに八ヶ岳PAへと吸い込まれた。

じくオレンジ色に燃えている、冬晴れの空にクッキリと浮かび上がった八ヶ岳には見向きもしない。

「もう天狗岳、登らなくてもいいかも。」
6:30、皆の心は早くも達成感に包まれた。



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Sくんの車は原始人と私のオンボロとは違い、アイスバーンでもぐいぐいと走り続けることのできる高級車である。
安定の走りで渋の湯までやってくると、案の定、前日からの車で駐車場は混んでいた。

長い付き合いになる金の亡者渋の湯の名物女将が早速近寄ってくる。
「今週はかき入れ時だねぇ。ガッツリ儲かって良かったねぇ。」と言うと、「全然そんなことはない。もう駐車場なんてやめようと思ってるんだ。」と返された。
いつもと変わらぬ返事を聞き嘘つけばばあ、その台詞は聞き飽きたわお元気そうでなによりだと思った。

8:10、身支度を整え出発する。



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ペアルックだと喜んでいる二人が気持ち悪い微笑ましい。

しかし、色は同じであれど中身は似て非なるもの。
その性能には雲泥の差があった。
左は落ちていても拾う気にすらならない安物であり、山道具屋では入手不可能な代物だ。
右はいわゆる正規品であり、その価格差は数十倍になるだろう。

「ウェアの差が登山力の決定的な差でないことを教えてやる!」とシャアの様な台詞を実践しているSくんの登攀力は確かに量産型常人の3倍である。
そう、装備の善し悪しは、少なくともこんな晴れた一般ルートでは何の影響も及ぼさない。
唯一違ってくるのは、友達ができるかできないかの差であろう。
事実彼には、30年間も山友が出来なかった。

これを踏まえ、シャアとかキャスバルとか呼ぼうかとも思ったが、かっこ良すぎるので彼は今まで通り原始人と呼ぼうと思う。

さて、問題は右側のSくんだ。
行程が進むにつれて変化するかもしれないが....まあ取り敢えず「正規品」で良いだろうか。
冒頭で悩んでいると記事が進まないので適当に流して先を急ぐことにする。
そもそもこんな事に興味があるのは内輪だけなんだから、うんこ1号・2号でもいい




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とある想いを胸に秘め、息子くんが先頭を歩く。
その後を原始人と正規品が追い、静かに歩きたい私はもちろん距離を置くことにした。
今日は誰が弾丸トークの餌食になるんだろうか。

8:15、登山開始。



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しかしこの日うるさかったのは息子くんではなかった。
このメンバーに熊避けの鈴は必要無いだろう。




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森に踏み込むと、駐車場の混雑とは相まって、登山道はただただ静かであり、そして美しかった。




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そんなひっそりとした森の中で、原始人と正規品はまるで恋人のように無駄な体力を使ってはしゃぎまくる。




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息子くんよ。
そんな目で大人を見るのは止めてあげなさい。



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否。
息子くんよ、君は正しい。



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標高が上がり空が近くなる。
すると辺りの雰囲気が徐々に変化する。
深い雪に音が吸収され、森は静かに我々を包み込む。




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重たそうに雪を乗せた樹木達が、北八ヶ岳にいることを教えてくれた。




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やがて視界が広がるようになる。
見上げた蒼い空と雪の白さに心が躍る。

ここまでやってくることができれば、最初の目標はもう目の前だ。




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さあ、着いたよ!



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10:06、まるで絵本の世界に登場するかのような黒百合ヒュッテに到着となった。
ここでしばしの休憩をとる。



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実は息子くん、この場所を訪れるのは二度目なのである。



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2011年の夏、まだ幼かった彼を連れ、麦草峠から高見石を経由し天狗岳を目指した。



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しかし彼にはちょっと距離が長かったようで、黒百合ヒュッテでテントを張り終えると「山頂へは登らない。」の一点張りとなった。




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彼は意外にもその時のことを良く覚えていて、「今日こそは登るぞ。」と、今回は珍しく鼻息が荒かったのだ。

彼なりに敗退の意識があったのだろう。
嬉しいじゃないか。




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あの日このカウンターに座りアイスを食べていた息子くんの姿が鮮明に蘇る。

下山中には雨に叩かれ、あまり良い思い出にはならなかった前回の天狗岳。
今回は頑張ろうねとビーフシチューを奮発した。



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ここからはフル装備で山頂を目指す。



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10:50、外気温-16℃の黒百合平をスタートした。



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森の中を5分程歩くと「中山峠」(2410m)に到着する。
息子くんがこの場所を覚えていてくれたことが嬉しかった。



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金峰山が良く見えている。
この先で待っていてくれるであろう展望に期待が高まる。



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氷と雪に閉ざされた、寒々しい短い樹林帯を通過する。



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次に前方が開ければ、目標の天狗岳を見ることができるはずだ。
振り返ると、中山から高見石へと続く、あの日歩いたシラビソの森が美しかった。




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そして遂に目標と対峙した。
あの日とは違う、厳冬期の白い天狗岳の姿に息子くんは何を思ったのだろうか。



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今日は絶対登れるよ。
だって最高の仲間達がいるんだから。



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あの「にゅう」にも一緒に登ったね。



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稜線に立つと風が強くなった。
ガスが次々に流れ去って行く。

東天狗岳が徐々に近づいてくる。



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斜度が強くなると渋滞が起きていた。
少しづつ広がって行く景色を楽しみながら距離を取り、ゆっくりと登る。



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すごい景色だね。



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今日も静的な北八ヶ岳は美しかった。
蓼科山が実に印象的だ。



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やや急な斜面を登りきる。



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すると真っ白な西天狗岳がぐんと近くなっていた。



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再び振り返って北八ヶ岳を俯瞰する。
なんて美しいんだろうか。



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天狗岳の名の由来となった「天狗の鼻」が迫る。
あれを越えれば、そのすぐ先に息子くんの目標がある。



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西天狗岳へと向かう登山者達が見えるようになった。




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北東を見下ろせば、思い出深い「しらびそ小屋」を見ることが出来た。

しらびそ小屋の記事へはこちらからどうぞ。



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しかし息子くんは脇目も振らずに頂を目指す。
頑張れ息子くん。




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大きなパーティーが山頂を占拠していた為、天狗の鼻で風を避けつつ時間調整を行うことにした。




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休憩している間に、正規品が素晴らしい写真を撮った。
ビシっとピンの入った、飛翔するホシガラスである。

こいつは凄い!



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彼はmont-bellの2016年「山の日フォトコンテスト」で入賞した経験を持つ程の腕前だ。
『鎮魂の天空散歩』と題された素晴らしい一枚なので、是非ご覧頂ければと思う。

今回は貴重な親子写真をたくさん撮って頂いた。

そうだ、高級な方のSくんは「正規品」を改め、「写真家」と呼ぶことにしよう。
あっちは「原始人」で十分だ。



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さあ、あの日登ることを諦めた頂に向かおうか。
お前、大きくなったんだな。


第二部の記事へはこちらからどうぞ。




今回も最後までお読み頂きまして、大変ありがとうございました。

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by yama-nobori | 2017-08-15 23:26 | 登山 2017 | Comments(0)
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