石老山(せきろうさん)は丹沢山地の北部、道志山塊に属した標高702mの山である。 標高を694mとして紹介しているガイドブックなどもあるが、これは山頂の西にある三角点を指しており山頂の数字では無い。 相模湖の南東の山を総じて石老山と呼び、巨大な奇岩が山道に点在することで知られている。 2015/11/27に皇太子が登り、小さなブームとなったことは記憶に新しい。 遠くの山に出かける気にならず、バイクで訪れることのできる近所の石老山へ登ることにした。 山行の相棒は息子くんである。 「石老山入口」交差点を曲がり道なりに進むと、「顕鏡寺」(けんきょうじ)という古義真言宗の寺が現れる。 実はこのお寺の娘とは同級生で、大晦日の夜にお邪魔して年越しを楽しんだ思い出がある。 久しぶりに会えないものかと辺りを見回したが、人気無く静まり返っていた。 平安時代の仁寿元年(851年)に創建された顕鏡寺の境内には、神奈川の名木に選ばれている古木や奇岩怪石が数多くあり、岩窟には虚空蔵菩薩が安置されている。 NHKの人気朝ドラ「花子とアン」で、仲間由紀恵演ずる「葉山蓮子様」のモデルとなった歌人「柳原白蓮」が眠っていることでも有名だ。 石老山の山名は、この顕鏡寺の山号である。 10:46、標高約370mをスタートする。 1時間20分程で登ったという皇太子、多少ルートが違うかもしれないが、我々は何分で登ることができるだろうか。 おかげで今回も殆どの写真が後ろ姿となってしまった。 桜山展望台からは都内方面への視界が開け、私が生まれて初めて登った故郷の山が近くに見えた。 まだ息子くんとは登っていないので、いずれ案内しようと思っている。 城山の記事へはこちらからどうぞ。 子供の頃よく連れて行ってもらった遊園地が近くにある。 当時、遊園地と言えば「相模湖ピクニックランド」一択だった。 特別なイベントが無い限り混み合うことは無いので、息子くんとも何度か遊びに行っている。 自分の幼い頃の思い出の残る場所で一緒に遊べるというのはなんだか嬉しいが、経営が変わり「プレジャーフォレスト」と名を変えてしまったのは少々残念だ。 11:29、三角点(694m)に到着。 うん、もうすぐだね。 するといつもの様にダッシュを始める息子くん。 だから、登頂写真を撮らせてくれってば! あまりに早く、すぐに追うのを諦めた...。 所要時間、46分での登頂となった。 南側に狭い展望がある。 丹沢三峰・丹沢山・蛭ヶ岳・焼山・袖平山、そしてどっしりとした山容の大室山へと続き、その右肩には薄っすらと富士山を眺めることが出来た。 山頂は広く、皆さん思い思いに楽しんでいる。 低山ならではの微笑ましい光景である。 それにしても、石老山の山頂標はなかなか面白い。 正面からは実に立派に見えるのだが、横からだとご覧の通りぺらっぺら。 12:35、下山を開始する。 数多くの岩が現れる。 それぞれに伝説を持つ奇岩巡りが楽しい。 『弁慶の力試岩』 「弁慶は強かった人かも知れないが、この岩に拳の跡を残す力はなかったと思う。」...って、当たり前だろ、と突っ込みを入れる息子くん。 「 最近どうにも口が悪い。 誰に似てしまったのか...。 二十六夜山の記事でも書いた様に、相模湖にはたくさんの思い出がある。 二十六夜山の記事へはこちらからどうぞ。 昭和の雰囲気が好きな人にとって、相模湖はたまらない場所だろう。 集客に手を抜き、ただ単に時代に取り残された故の姿なので、生活感溢れる寂れっぷりはリアルそのものだ。 後の昭和ブームで脚光を浴びることがなければ、悲惨なことになっていたのではなかろうか。 息子くんと訪れたのはこの日が初めてだった。 土産物屋では、この先絶対に売れることのないであろう商品の数々が、埃をかぶって並んでいる。 そもそも売る気が無いのか、店内には店主の姿すら見当たらない。 ゲームセンターに入る。 置かれているのは、電力を必要としないゲームが殆どだ。 遊び方の多様化した平成っ子のテンションはやや低い。 懐かしいスマートボールに挑戦させてみる。 すると大当たりを引き当て、玉がどんどん出てきて見物人が現れる程となった。 これには息子くんも大喜びで、もう一度やりたいと言う。 修理を重ね今日まで動き続けて来たのだろう。 よくよく見れば素晴らしいからくりの技術である。 アナログな遊びも面白いだろ? パパも夢中で遊んだんだぞ。 家族で遊びに来た、遠い日の思い出を息子くんへ話した。 足漕ぎボートと遊覧船の少々しつこい呼び込みも 時代遅れの無骨なスピーカーから流れているのはもちろん演歌だ。 子供の頃は華やかに思えた同じ場所で、当時はまだ無かった 彼の目には地味に映ったであろう相模湖へ、いつの日か他の誰かと訪れることがあるんだろうか。 その時、今日のことを思い出してくれるんだろうか。 私にとっては忘れられない、息子くんとの楽しい一日だった。
by yama-nobori
| 2017-05-25 21:41
| 登山 2016
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Comments(3)
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ねも
at 2017-06-05 22:01
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ほのぼのした父子の交流、良いですね。でもゆたかさんの「パパ」は超違和感あります(笑)
石老山は複数回登りました。私の印象では高尾山などより空いていましたが、今回は結構な賑わいですね。 相模湖はそんな古風な観光地だったのですね!? 私は行ったことないです。 ところで先週末、三国峠→十文字小屋→甲武信ヶ岳→西沢渓谷を歩きました。晴天に恵まれ大展望、シャクナゲも満開、最高の山旅でした。
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yama-nobori at 2017-06-06 22:02
> ねもさん
違和感w ひどいなぁ、ちゃんと(?)パパ業もやってるんですぞ?? 甲武信ヶ岳は通り抜けの縦走だったんですね! 車の回収はどのように行いましたか?? あそこのシャクナゲは本当に綺麗ですよね(^^) 先週の私は富士山でした。 記事になるのは秋の頃かもしれませんw
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ねも
at 2017-06-08 10:17
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レスありがとうございます。
違和感は「パパ」という表現です。ゆたかさんなら「おやじ」が一番ふさわしいかと(笑、せいぜい「父」か「お父さん」) 私は非マイカー族で…… 信濃川上から三国峠までタクシーに。今回はメンバーを募ったので一人2,050円でした。 あそことは具体的にどこでしょう? あちこち満開でしたが、十文字小屋の乙女の森と三国峠近くの稜線が特にきれいでした。 お互い天気に恵まれて良かったです。
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