赤石山脈盟主への帰省③赤石岳~悪沢岳 2016.09.24(土)~27(火)



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赤石岳避難小屋へと向かう第三部のスタートです。

第二部の記事へはこちらからどうぞ。




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11:35、標高3046mの主稜線に乗った。


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木々の紅葉には少し早かったが、ウラシマツツジは美しい絨毯となっていた。



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ゆっくりと山頂へ向かう。
ときおりガスがかかるようになったが焦る必要はもう無かった。



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あの頂の先に見えるものは、幾度も眺めてきた脳裏に刻み込まれている忘れ得ぬ山岳風景だ。
しかし毎回新鮮な気持ちで、胸が熱くなるのは何故だろうか。


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やがて累々と横たわる峰々が目の前に広がり始める。



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11:57、「赤石岳」(3113m)登頂。
「富士見平」(2701m)からのCT2時間35分に対し、所要時間1時間37分での到着だった。



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赤石山脈の盟主へと戻って来ることができたことが、ただただ嬉しかった。

昨年の記事へはこちらからどうぞ。


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展望は後でゆっくりと楽しもう。

山頂で正装へと着替え、帰るべきもう一つの場所へと移動する。



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「ただいま~」


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扉を開けると、ずっと会いたかったあの人が目の前で寝ぼけていたに座っていた。

眠気眼で「おぉ、早いな。どこからだ。」「あぁ、着てくれてるんだ、ありがとう。」と榎田さん。
山頂で着替えたのは、去年売られていた赤石岳避難小屋のTシャツだった。



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ちなみに今年のデザインは、寝転んだ榎田さんのイラストに、「人生避難小屋 飲もうじゃないか」「人生避難小屋 泣きたい時は山に来い!!」の文字が入った二つのバージョン。
イラストはちえこさんのデザインだ。

「おかえりなさい。」
ちえこさんが素敵な笑顔で出迎えてくれた。



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「350と500どっちがいい?」
「350を頂きます。」
「お~通はそっちだよな。でかいほうはすぐに温くなるからな。」

再会から数分で外へと移動する。


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「この時間から飲むビールは最高だよなぁ。」
「いつも飲んでるくせに。まあいいや、かんぱ~い!」

「もう小屋閉めですね。毎日こんな景色を眺めていると下山したくないでしょ?」
「ぜんっぜん!ネオンが恋しい。居酒屋が恋しいぜ。」

「去年は都内で背広着て講演してましたよね。似合わないっすね。」
「なんだとぉ。うるせぇ~な!」



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二本目に手を伸ばした頃、大倉尾根を登ってきたという若者が到着。
足元を見て二人して大笑い。

「この小屋には変態しかこねぇな。わははは。」と榎田さんが大喜びだ。



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三人で飲み始めるとこれまた重たそうな三脚を担いだ若者が到着。
「おぉ、今度はカメラマンの変態だ。」と、榎田さんの目尻が下がる。



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暫くみんなで飲んでいると数名の登山者が到着したので一度解散。



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受付の際、翌日の行程を確認される。
私は千枚岳へ向かうことは決めていたが、途中で停滞するか、一気に椹島まで下りてしまうかは決めていなかったので保留とした。
受付を行い寝床の確認を行った。
尚、受付の際に渡される領収書は、復路でのバス乗車券となるので保管は厳重に。



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赤石岳避難小屋を紹介させて頂くことにする。

「避難小屋」と名がつけられているが、営業期間中は有人小屋である(その他の期間は冬季小屋として開放)。
素泊まりが原則ではあるが、簡易的な食事は提供可能。
自炊は土間か外のテーブルで行うことができる。
水は基本的に無いものとして訪れるべきではあるが、その年の降水状況次第では分けてもらうことが可能であるし、ペットボトルを購入することもできるので、体力に不安のある方は無理に担いでくる必要はない。
ヤカンのお湯は自由に使用することが出来るので、カップ麺や珈琲の為だけにガスバーナーなどを持ってくる必要も無い。
発電機の動いている時間なら100Vのコンセントが無料で利用出来る。



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荷物は1Fの土間に置き最低限のものだけを持って2Fの寝室へ上がることになるので、事前にパッキングを工夫しておくとスムーズだ。
シュラフを持参すれば500円の割引がある。
収容人数30人の小さな小屋なので、混雑した日に当たると悲惨なことになる。
最も混雑するシルバーウィークなどには80人が詰め込まれるので、他人の足が顔の両側に来る昔ながらの山小屋就寝スタイルを体験したい人は狙ってみると良い。
ただそこまでの混雑は特異日での出来事であるため、通常はさほど心配する必要はない。
特に小屋閉め間近のこの時期は、聖岳~荒川岳まで縦走しても10人逢ったら珍しい程だ。

以前は今回と同じルートを一日で登ることが出来ると、「たった一日での2000m登山証明書(岳人証明書)」という登山証明書を発行してくれた。
現在も発行しているのかは不明なので、興味のある方は榎田さんに聞いてみると良い。
尚、榎田さんは下界のお菓子類に飢えているので奉納するとご利益があるかもしれない。
酒類のストックを心配する必要は無い。
毎年自分で飲むためかなり余裕をもった荷揚げが行われるので、小屋閉めが近くなると半額で売られるようになるが捌ききれない。



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さて、赤石岳避難小屋に泊まる最大のメリットは立地にある。
富士山を除いた標高3000m以上に建つ山小屋では国内最高点(3120m)であり、サンダルでも2分程で立つことのできる山頂からは、360°の大展望を楽しむことができる。
光の移ろいを求め、この小屋をベースに数日間滞在するカメラマンも多い。



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白峰南嶺越しの富士山。


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聖岳・上河内岳、そして深南部。


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荒川から南アルプス北部への峰々。
北・中央アルプスはもちろん、晴れた日には日光連山も良く見ることができる。



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クロマメの実(和製ブルーベリー)が辺り一面に実っていた。
甘酸っぱくて大好きなこの時期ならではのお楽しみである。



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地図を眺めながら翌日の行程を考えた。


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「紅葉にまだ早いこの中途半端な時期なら空いているのかも」

とある施設に電話をかけると予約が取れてしまって驚いた。
榎田さんとちえこさんに報告すると羨ましがられた。



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二人の若者に秘密の部屋、通称「のんべぇ小屋」を教えてあげた。
※詳しくは昨年の記事をお読み下さい。
中を覗くと明らかにパワーアップしていて笑ってしまった。



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実はこの日(9/25)、富士山では降雪があり、肉眼でもハッキリと確認できるほど白くなっていた。
しかし2016年の初冠雪は、10/26に発表となった。

これは、定められた気象台から目視で山頂が白く見えた日を「初冠雪」と呼ぶと定義されていることによる。
ちなみに積雪があっても、雲などで山頂が見えない場合はノーカウントとなる。
富士山の場合は甲府地方気象台が観測地であり、雲の取れる前に雪が溶けてしまったことに起因しているのだろう。



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やがて風が強くなり、笠雲がかかるようになった。


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この日の宿泊者は9名と最適な人数だった。

土間で自炊を始めるとちえこさんが冷奴を出してくれた。
昼間から飲み続けていたが、いよいよ酒が止まらない。



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その後、何度も外の様子が気になって写真を撮りに行った。


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残念ながら夕日を眺めることは叶わなかった。



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ハーモニカの演奏には今年も涙した。
その後、二軒小屋の歌を唄ったあたりで記憶が怪しくなった。



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消灯後はのんべぇ小屋に行く約束をしていたが、あろうことか目覚めた時には朝だった。
まあ8時間程間髪入れずに飲み続けていたので仕方あるまいか...。



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「寝ちまったのか。俺も寝ちゃったけどな。」
「また飲みに来ますわ。さ、富士山見に行きましょう。」
「今日は窓が開くといいな。」


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”窓が開く”と言うのは株の話ではない。

この日の予報は曇り時々雨。
このように上空に雲のある場合には、爆発したかのような色に染まる可能性がある。
天候の変わり目は、驚くほどの絶景を見せてくれることがあるのだ。


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ところが窓は開かなかった。

レンズ雲が足早に流れ、緞帳が下がり富士山の上部を隠してしまっている。
空が焼けるかとも期待したがこの日はここまでだった。



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小雨も落ちてきたので小屋へと戻り出発準備を整えた。



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5:30、頃合いを見計らい出発することにした。



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「ありがとうございました。また戻ってきます。」
「おぉ、また来年な。」


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赤石避難小屋を出発すると、辺りが幻想的な色彩に包まれ始めた。



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急いで山頂へと向かう。


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ガスの動きに併せ、色彩が刻一刻と変化する。



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中央アルプス側には2つの虹が縦に並び、やがてガスのスクリーンに影赤石岳が浮かび上がる。



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暫く動くことが出来ず、夢中でシャッターを切った。



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これだから赤石岳で迎える朝はたまらない。
窓は開かず空も染まることは無かったが、素晴らしい色彩の洪水を楽しんだ。



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来年も必ず帰省しよう。

さよなら榎田さん、ちえこさん。
そして赤石岳。


今日の行程はやや長い。
けれどあの場所に泊まれるなら頑張れる。

6:00、荒川三山に向けて歩き始めた。


第四部への記事へはこちらからどうぞ。

今回も最後までお読み頂きまして、大変ありがとうございました。


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by yama-nobori | 2017-04-06 22:33 | 登山 2016 | Comments(4)
Commented by ねも at 2017-04-08 23:37 x
赤石岳避難小屋のていねいな解説ありがとうございます。こんなに魅力的に書かれると混雑しないかちょっと気になりますが。
私は基本的に毎年1回なので、偉そうなことは言えませんが、数年前に比べると宿泊者が増えているように感じます。昨年7月30日(土)は激混みのところに押しかけご迷惑をおかけしました。
実は私もこのとき赤石岳に行こうかと計画していたのですが、はっきりしない天気に見送りました。強行していたらどっかで会えたかもしれませんね。
ゆたかさんは変態を自認しておられるようですが、榎田さんと並んでいるとずっとまともな人にみえます(笑)
Commented by yama-nobori at 2017-04-25 21:04
> ねもさん

お返事がすっかり遅くなりました。
やはりお好きな山域とタイミングが似ているようですね!
今年は数回登ろうと思っています、もし「非公開コメント」でメアド等教えて頂けましたら
予定等お伝えしたいと思っています(^^)

そうですか、まともな人間に。。。w
んでもまあ確かにそうかもしれませんね(笑)
Commented by ねも at 2017-09-25 23:42 x
お久しぶりです。昨シーズンの記録に失礼します。
23日、榎田さんちにお世話になりました。今回は宿泊者10人ほどで迷惑かけずに良かったです。いつものごとく宴は果てることなく…… とっても楽しかった(^o^)
ゆたかさんは避難小屋では有名人なのですね! 今週末ご来訪と聞いたので、みかけは普通だけど実際は超変な人と吹聴してきました(笑)
Commented by yama-nobori at 2017-09-26 21:47
> ねもさん

おおお、行かれたのですね!!
私も間もなく出発!
小屋閉め間近の静かな避難小屋を満喫してこようと思っています。

そうそう、なんでも今年は、私がもう来たかと尋ねた人が多かったらしです...(^^;
恥ずかしいのでマジやめてくださいw
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