素晴らしき即席パーティー①@白峰三山縦走 2016.11.03(木)~11.05(土)



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白峰三山(しらねさんざん)は、南アルプスにある北岳・間ノ岳・農鳥岳の総称である。
この三山を巡る縦走路に憧れる登山者は大変多く、私も季節を変え何度も歩き続けている北部を代表する大好きな定番コースだ。

素晴らしき暦のめぐりあわせで、11/4をさぼる有給とすることで4連休となる。
南アルプスに篭もることを決めた。
さてどこに登ろうか。

数日悩んだ末に決めたのは「北岳~間ノ岳~塩見岳~蝙蝠岳」もしくは「北岳~間ノ岳~白根南嶺」から「伝付峠~笊ヶ岳」へ抜ける奈良田起点の周回コースであった。
少しづつパッキングを進めながら、高層天気図とのにらめっこの毎日が始まった。
そして入山の直前、まとまった降雪が南アルプスにもたらされる。
これでもう縦走中の水には困ることがない。
最高のプレゼントだった。

縦走予定の四日間、ほぼ快晴が続くのは間違いないと読んだ。
しかし、厳冬期並の寒気が流れ込むという余計なおまけがついてきた。

ということは暴風だ。
寒さはどうでも良かったが風だけはよろしくない。

でもまあ...行けるところまで行ってみるか。

※梅雨時へ戻るつもりでしたが、旬な記事を書きたくなりました。
それに出来るだけ早く読んでもらいたい人達がいるんです。





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例によって定時で会社を脱出し、奈良田に到着したのは22:30であった。
小雨がパラついていたので稜線上は再び雪が降っているはずだ。
南アルプス林道のバス運行は11/9が最終となる。
降雪の影響であろう、二週間前とは違い、人の気配が全く無い静かな駐車場で車中泊となった。

二週間前の記事へはこちらからどうぞ。



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4:54、バスが到着したので運転手さんとおしゃべりを楽しみながら出発時間を待った。
夜空は意外にも満天の星空である。


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乗客は私を含め5名、皆軽荷で北岳山荘泊で北岳を楽しむのだそうだ。

05:20、出発の直前、二頭の甲斐犬を連れた珍客が現れた。
農鳥親父である。
久しぶりの再会に挨拶をすませる。

登山者達に雪山登山についての注意を呼びかける姿は流石の山男であった。
それにしても下界でも赤ヘルだとは...


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6:15、広河原到着。


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前回から二週間しか経っていなかったが、季節は進み秋も終盤だ。



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この日の午前中は多少雪が舞うのではないかと思っていたので、雲一つない青空が信じられなかった。
北岳は冬山に近い山容となり白銀が美しかった。


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いつもの吊橋を渡り、まずは広河原山荘のI氏を訪ねてみることにした。



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味噌汁をご馳走になりながら彼の見解を聞いてみると、稜線上はやはり暴風の予想。

初日の内に「熊ノ平」まで進んでしまいたかったが、この日の目標を「北岳山荘」もしくは「肩の小屋」までと決めた。
これなら急ぐ必要は全く無い。
それにちょっとした楽しみもあったので時間調整を兼ねてI氏とのおしゃべりを楽しんだ。



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ストーブでぽかぽかに温まり、すっかりやる気がなくなっていたが重い腰を上げることにする。



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7:20、広河原山荘出発。


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丁度朝日が差し込むタイミングとなり、森がキラキラと輝き出した。



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この森はもう間もなく深い雪に閉ざされる。
いつもの巨大倒木を「ぽんっ」と叩いて「ただいま」と「行ってきます」の挨拶を済ませ通過する。



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大樺沢に添って標高を上げ始めると徐々に北岳が近づいてくる。



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沢に架かる木製の橋が凍結していてつるつると滑った。
二週間前には半袖で歩いていたのが嘘のようだ。


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標高2500m辺りからはある程度の積雪があるようだ。

北岳山荘を目指すなら八本歯からのトラバースが最短である。
しかし、中途半端な積雪量の八本歯からのコースは、日陰で凍結の激しい危険な存在だ。
右俣から肩の小屋へ向かうことを決めた。

雪が着いたおかげで岩稜の凹凸が明瞭となり美しかった。



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8:50、のんびり歩いたはずなのに予定よりもずいぶんと早く二股に到着してしまった。



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ここでとある目的の為、時間調整を兼ねて休憩を取ることにした。

すると白根御池小屋側の登山道から元気な三名の若者達が歓声と共に現れた。
眼前に現れた青空に映える北岳と、八本歯へと続く雄大な大樺沢の絶景に感激しているようだ。

挨拶も元気いっぱいだ。


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どこへ向かうのかと尋ねると「八本歯」から行けるところまでとの答えが返ってきた。
北岳への登頂経験はなく、登山経験が浅い上に2名はアイゼンの無いことがわかった。
ただ、リーダーには多少経験があるらしく冷静で落ち着いており、何が何でも山頂を目指しているわけではないようだ。

八本歯からのコースは危険が予想された。
しかし右俣コースなら、おそらく2500m辺りから雪が出てくるが、日当たりが良いので凍結は無く、仮に転んでも重大事故につながることは少ない。
万が一の場合には樹木に捕まることが可能である上に、尾根に乗れば仙丈ヶ岳と甲斐駒ヶ岳の大絶景が出迎えてくれる。
但し暴風だろうから、右俣コースで景色を眺めたら山頂を目指すこと無く引き返すように伝えると、お礼を言って爽やかに歩き始めた。

素直に従ってくれて良かった。


< ブログを読んでくれているであろう若者達へ >

実は「八本歯に行く」と言ったら何が何でも引き止めるつもりだったんだぞ。
下山後に知ったと思うけれど、事実、そのコースで死亡事故が起きたよね。
それからもう一つ。
アイゼンを買って二週間後に北岳に再挑戦すると言っていたけれど君達にはまだ無理だ。
それにその頃にはバスが運行していないのは知ってるかな?
他にもアドバイス出来ることがあると思う。
非公開でコメントをくれればこちらから連絡するよ。
Facebook、Twitter、メール、なんでもいいからね。



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9:40、50分間程休憩していたが、お楽しみはやって来なかった。
仕方ない、歩き始めるか。



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雪質と量は予想していた通り。
ツボ足で問題なく歩くことが出来た。


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通い慣れた登山道は、32kgのザックが全く苦にならないから不思議なものだ。



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お花畑までやってくると先行していた若者達が見えた。
大丈夫かと聞くと、元気に「大丈夫」と答えが返ってくる。

さあ、もう少ししたらおっさんを南アルプスの虜にした凄い景色が見られるぞ。
頑張れ!


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時間が経つにつれ雲が増え始め、猛スピードで流れ去って行く。
やはり稜線上は強風、北岳からは雪煙があがっていた。



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しかしこちら側は未だ無風のままだった。
とても静かな今シーズン初となる雪の感触を楽しんだ。



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10:55、その後も疲れを感じること無く標高は上がり、草すべりとの分岐点まで上がってきた。
予想ではそろそろお楽しみが現れるはずだ。


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やがて森林限界となる。
緑と白と青の世界が美しかった。


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鳳凰山と池山吊尾根が目線の高さとなる。



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するとようやく明るい話し声と共にお楽しみの一行が現れた。



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やってきたのは小屋閉めを完了し下山する北岳肩の小屋のスタッフさん達である。
近所の変態T氏、Sちゃんとは二週間ぶりの再会だ。
初見ではあったが、知る人ぞ知るド変態Yちゃんにもようやく会うことが出来て感無量である。



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変態目線で撮られた私が嬉しそうだ。

短い時間ではあったが素敵な時間だった。
今シーズンの営業お疲れ様でした!
下山したらまた一緒にラーメンでも食べましょう!



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彼らと別れた直後森林限界を超えた。



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振り返ると池山吊尾根の上に富士山が見えるようになった。
ここまで登ってきてしまえば雪煙の舞い上がる稜線はもう目の前だ。



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何度訪れてもわくわくする瞬間が近づいてきた。
初めて味わったこの場所での感動が今でも私を南アルプスへと誘い続けている。

さあ、ど~んと見えてくれるかな。



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尾根に乗る。

雪化粧された仙丈ヶ岳が眼前に大きい。
甲斐駒ヶ岳は残念ながらガスの中である。
やはりこの突然の開けっぷりは感動的だ。



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視線を北岳側に向けると若者三人組が手を振っていた。



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寒さに震える彼等に近づき、二三言葉を交わす。

この景色に感動してくれたらしい。
暖かくなったらまた登ってくれば良い。

彼らは爽やかに下山していった。



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防風対策を行い北岳北陵尾根を進む。

ルート上に先行者はいないようだ。
気温-5℃、風速25m/s程の暴風が吹く中、久しぶりの厳冬期気分を楽しんだ。



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積雪量は登山道で20cm、吹き溜まりで50cm程である。
クラストは無く歩きやすい。


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振り返ると小太郎山に雪は無さそうだ。
秋と冬の境界線を見た。



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ガスの切れ間から現れる空の青が眩しく嬉しい。



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まだ冬山と呼べるほどの積雪量ではなかったが、久しぶりの雪に心が躍る。



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やがて小屋閉めを終えたばかりの肩の小屋が見え始めた。
時間も早かったので北岳山荘まで進んでしまおうかとも考えたが、風が冷たく冬季小屋の誘惑にあっさりと負けた。




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12:15、冬季小屋に上がり込み荷物を広げ寝床を作る。
風から隔絶された小屋は天国のような空間だ。



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冬季小屋を簡単にご紹介させて頂くこととする。

まず肩の小屋の冬季小屋は非常時の利用が大前提だ。
よってこの小屋在りきの登山計画はマナー違反である。
但しこの日のような暴風時には、無理することなく有り難く利用させていただこう。

上手に利用すれば20人は悠々と眠ることができる。
非常時用の食料が置かれていて素晴らしい。
トイレも有り難い。


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誰の作品だろうか。
変態T氏のもので無いことだけは確かだろう。


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雪を確保し水を作り始めれば特にやることはなくなった。
というわけで、早速飲み始める。



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少しうとうとしていると、一人の男性が現れる。
その後四人パーティー、ソロ、二人組とが到着し、総勢九名での冬季小屋利用となる。
貸し切りなのかなと思っていただけに、この盛況ぶりには少々驚いた。



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風は相変わらず吹き続け、ごうごうと音を立てて小屋を揺らしている。
15:00、外に出てみると周囲のガスが飛ばされて、スッキリとした冬空に名峰達の稜線が鮮明になっていた。

この頃変態T氏から気になるメッセが送られてきた。
内容は、17:00頃に二人組の友人が冬季小屋を訪れるはずだというものだった。



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白くなった「ボーコンの頭」が印象的だ。


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鳳凰山と甲斐駒ヶ岳は二週間前とさほど変わらない晩秋の山容だ。



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仙丈ヶ岳は僅かに雪化粧されている。
また雪山と呼べるような姿になったら登りに行くつもりだ。



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16:40、再びうとうとして目を覚ますと小屋の中がオレンジ色に染まっている。
慌てて外に飛び出すと中央アルプスへ太陽が沈んで行くところであった。



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この時間になっても変態T氏の友人である二人組は現れなかった。

外気温は-8℃、風速は25m/s前後の夕暮れ時である。
やや心配ではあったが、T氏の友人がまともな人間である素人であるはずがない。
稜線手前での幕営判断をしたのだろうと思い、未到着である旨をT氏へ伝えた。

3000mから眺める夕日は格別だった。

小屋では最初に現れたソロ男性N氏とすっかり意気投合し大いに盛り上がった。
彼は翌日、この小屋に荷物を残し間ノ岳までをピストンするのだそうだ。
私は風が止み次第間ノ岳まで進み、その後のことは現地判断することを決めた。
二人共、翌日の出発はゆっくりで良い。
山で酌み交わす酒が美味かった。

就寝前、二人で小屋の外に出た。
風は相変わらず吹き続けていたが、甲府や伊那の街灯りと月明かりに浮かび上がる富士山を始めとした山々の稜線、そして頭上に瞬く天の川が美しい夜だった。

第二部の記事へはこちらからどうぞ。


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by yama-nobori | 2016-11-11 21:08 | 登山 2016 | Comments(4)
Commented at 2016-11-14 13:43 x
ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
Commented by yama-nobori at 2016-11-15 20:32
> いっしーさん

おーっ!!
あの時のリーダー君ですね(^^)/
風は強かったけれど良い経験が出来たよね!!
まだまだこれから!
みんな元気だし強いパーティーになりそうだ!

ふふ、南アの魅力にもう取りつかれゃったの?w
けれどまだまだこれから!
南アは深いぞぉぉ。

この冬は、北八ヶ岳や天狗岳、南の編笠山なんてどうだろう。
ピッケルは不要だしアイゼン歩行の良い練習になると思うよ。
私の年末はおそらく鳳凰三山かな。
予定あうなら来てみるかい?ピッケル不要。
何人か仲間が来ると思うから基本は小屋泊(私はツェルトかな)。
二泊三日の予定だよ!

Twitter確認しました。
何かあったら連絡してね!
Commented by いっしー at 2016-11-18 20:29 x
あの時のリーダーではなく、ヘルメット担いでた一人です^^

あれからブログを結構読ませてもらいましたが、、、ゆたかさんの行ってる南アは深すぎますねwww
いつかはバリエーションや、昔の登山道、尾根探検等してみたいです!!(ヒル山は勘弁ですが笑)

北八ヶ岳や、天狗、編笠はリーダーが雪山のとっかかりとして行こうと以前に言っていた気がします。

年末鳳凰三山ですか!!日程が合いそうなら興味あります、メンバーに聞いてみますね~~
Commented by yama-nobori at 2016-11-20 20:02
> いっしーさん

おーヘルメットくんでしたか!
南アルプスは森林限界以下が面白いですぞw
早く一人前の変態になってくださいませ!

雪山は天候と雪質さえ味方につけることができれば、夏より早く登れます。
でもまずは低目の人の多い山から始めてみてくださいね(^^)
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