安倍東山稜の大展望台@十枚山 2016.06.11(土)



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十枚山(じゅうまいさん)は、山梨県南巨摩郡南部町と静岡県静岡市葵区にまたがる、安倍東山稜を代表する山である。
標高1,726mの上十枚山と、1,732mの下十枚山からなる双耳峰であり、地形図では上十枚山が十枚山となっている。

尚、山頂標には1,719mとの記載があるが、国土地理院発表により平成3年1,726mへ訂正された。





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思親山を下山し、再び富士川を横断して十枚山登山口を目指す。
移動距離はおよそ15km、50分程のドライブとなった。



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昔から十枚山は静岡の山であるという認識が強かった。
事実、十枚山の呼び名は静岡側のものであり、かつて山梨側では「萩原山」と呼んだ。
静岡側には登り下りの急なことを指して「登り十枚、下り十枚」という言い方がある。
「枚」とは滝の数え方であるが、滝が幾つも続くような急斜面の事を指すようだ。

成島地区が近づくと十枚山が良く見えるようになった。
左ピークが下十枚山、右側が十枚山である。

クッキリとした青空に良く映えており、安倍東山稜屈指の大展望台からの眺望を思うと心が踊った。



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十枚山へは静岡側から登る登山者が圧倒的に多く、コース取りもバラエティーに富む。
対する山梨側は、南部町の成島地区から林道剣持大洞線に車を乗り入れる他に入山方法は無い。

ナビを使用するならば「十枚荘温泉」をセットし、最初の分岐を右に進み林道剣持大洞線へと入る。
その後は小さな道標が導いてくれるようになる。


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8割程は舗装路であるが、登山口が近づくとダートとなる。
運転に自信の無い方は手前のスペースに乗り捨てたほうが賢明だ。
写真より斜度があり、スタックの危険性がある。
ほとんど人が来ない上に携帯は圏外(docomo)なのでご注意を。



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登山口には3台程度は停めることができると思われる。
沢が流れており、とても美味しい水を汲むことができた。



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それにしても暑い日であった。
早朝なのに、焼けるような日差しが肌を刺す。

6:40、標高740mの登山口を出発した。



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まずは緩やかに杉林の中を進む。
山頂までの距離を示す道標は、篠井山のものと同じ造りであった。


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登山道は徐々に斜度が強くなり、時々平坦地が現れるようになる。
山域により、このような平坦地のことを「段」と呼ぶ。

6:45、「栂尾根下の段」を通過。


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尾根に乗るとまずまずの急登だ。


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山梨百名山を登るにあたり、決めていたことがいくつかある。
一つは山梨百名山制定前に登った山は再度登り直すこと。
もう一つは、登山口までのアプローチは調べるが、他の情報は地形図以外からは仕入れないという内容だ。

このマイルールは、登山をとても楽しく新鮮なものにしてくれたが、時には泣かされることもある。
今回の十枚山は完全に後者となった。


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等高線を読み間違えており、山頂までの標高差は400m程度であろうと思い込んでいた。
地形図しか見ていないので勿論CTなどは知る由もなかったが、2時間もあれば双耳峰二座を踏み下山できるであろうと考えペース配分せずにガンガン飛ばす。
携行していたのは、飲みかけの缶コーヒーと小さな袋の柿ピーだけだった。



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「栂尾根中の段」を通過すると更に強い斜度となる。


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7:10、「栂尾根上の段」(1173m)到着。

ここまできてようやく「おや?」と思う。
標高計を確認すると、アジャストしていなかったので正確な標高はわからなかったが、既に400m程度は登っているようだ。
それなのに山頂までの距離はまだ2.4kmも残されている...

おかしいなぁとは思いつつも、間違いを認める気はさらさら無かった。



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キツネにつままれたような思いでいると、久しぶりに奴らの襲撃を受けた。
「段」を過ぎれば再び急登だ。


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7:30、「1.8km」標識のある「栂尾根奥の段」を通過。



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「奥の段」を越えた辺りから植生に変化が現れる。
しかし山頂が近いという雰囲気はまだ感じない。



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7:43、大きな「硯石」を通過し更に上を目指す。



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7:50、「石小屋」(1486m)で初めての休憩をとる。
そして恐る恐る地形図を広げ「あっ」っとなった。

なんだよ...この山、標高差1000m近くもあるじゃないか。



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「石小屋」からはペースを落とした。
ここからは右山腹に移り、やや歩きにくいコースとなる。


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更に進むと、ようやく稜線が見え始めた。

ここまでずっと展望のない樹林帯であった。
あの場所で広がるであろう展望に胸が高なる。



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しかし....

あれほどまでスッキリと晴れわたっていた青空は何処へ行ってしまったのか。
この場所から眺める安倍奥の山並み、そして深南部をどれほど楽しみにしていたことか....



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8:10、がっくりと肩を落とし、「十枚峠」(1583m)から北方向にある十枚山山頂を目指す。



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捨てるゴミすら持ってきていなかったのでその心配は無いが、このツキの無さには、ぷぅさんに出会うんじゃなかろうかと真剣に不安になった。



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開放感溢れる防火帯の左手はガスに覆われている。

晴れていればピタリと足を止め、深南部の山並みを眺めていたことであろう。
この日は下を向いたまま、ぼてぼてと歩き続けた。



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山頂からは富士山と駿河湾が良く見えるんだそうだ。



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ペース配分を間違えたこともあり少々疲れた。
それに加え、腹が減って実に惨めな気分でもある。



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そんな気分であっても、やはりこの瞬間は嬉しい。
もしかしたら、東側はガスが抜けているかもしれない。



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一縷の望みをかけ、体を押し上げた。
さあ、どうだ!?


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...............涙目でした。



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8:30、「十枚山」(1726m)登頂。

下山後調べたところによると、CTは3.5時間程度であるらしい。
所要時間、1時間50分での登頂となった。



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360°、見事なまでの完全なるガス。
安倍東山稜の大展望台と言われる十枚山でこいつは酷すぎる。

深南部の眺めは特に楽しみだった。
期待が大きかっただけに大きく凹む。



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唯一見えていたのは目の前の寒々しい山頂のみ。
昨日から登り続けてきた南部の山々も俯瞰するつもりだったのに.....



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フルスイングで鐘を鳴らしまくる。

ガスや雨でも楽しかったというような記事をよく目にするけれど、それは余程下界で残念な生活を送っているからだろう本心なのであろうか。
負け犬の遠吠えにしか聞こえないので私は素直に悔しかった。

深田百名山の場合、限られた時間と予算の中で行程を容易に変更することができず、辛い風雨の中で無理やり登り、再訪する機会のないまま暗い印象を秀峰達に抱いてしまっている方も多いことだろう。
その点、この山梨百名山ならばいつでも訪れることが可能なのだ。



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一つの山を、季節を変えあらゆる尾根からしつこく登るのが私のスタイルだ。
季節はヒルのいる6~10月以外ならいつでも冬が良いだろう。
次回はルートを変え、晴天の大展望をこの目に焼き付けることを固く誓って下山を開始した。



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途中、ややガスが抜け山梨側がうっすらと見え始める。
しかし見たかったのはこんなんじゃない。



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下千枚は次回に持ち越すことにした。



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稜線を離れ、いよいよ樹林帯に降りようという時、南部のガスが僅かに抜けた。

黒法師・大無間・光岳をうっすらと確認することができた。
しかし十枚山からの展望はこんなものでは無いはずだ。



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暗く残念な思いが張り付いてしまった十枚山には、申し訳ない気持ちでいっぱいだ。
心から「流石は安倍東山稜の大展望台だね!」といえる様、一番良いタイミングで再び登ってあげたいなと考えている。



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10:10、下山完了。
所要時間は70分であった。


早いもので、夏は過ぎ去ってしまったようですね。
夜風と虫の音がとても心地良くなりました。

それにしてもこのシリーズ、まだ梅雨の真っ只中なんですよね....
爽やかな季節にジメジメしたヒルの話ばかりでほんと申し訳ない。
真面目な話、年内に夏の記事を書き終えることは出来るんだろうか...
というか、それまで記憶を保つことができるのであろうか....


富士川遡行の山行は続く。



おしまい。

今回も最後までお読みいただきまして大変ありがとうございました。


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by yama-nobori | 2016-09-14 22:57 | 登山 2016 | Comments(0)
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