奥秩父の最大山体@国師ヶ岳 2016.06.06(月)



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国師ヶ岳(こくしがたけ)は、山梨県山梨市と長野県南佐久郡川上村の境界にある標高2592mの山である。
山名の由来は甲斐と信州の交流史にあり、山脈のピークを越える「越し」からコクシの表現が生まれ、後に文字を当てたとされている。
「コクシ」の表記は、夢窓疎石の修行伝説からの「国師」が一般的であるが、甲斐国志では「国司」を使用している。




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かつては日帰り登山など、夢のまた夢であった国師ヶ岳は、川上牧丘線(峰越林道)を利用することで、僅か数時間のハイキングで登頂可能な山となった。
起点となる大弛峠を西に向かえば日本百名山に名を連ねる金峰山、東に進めば今回登る国師ヶ岳となる。


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蛾ヶ岳の登頂を終え次に向かったのは大弛峠。
ここが国師ヶ岳最短ルートの登山口となる。

実は約一ヶ月前、この冬季ゲートが閉じていたために国師ヶ岳は登らずして敗退となっていた。
いつも行き当たりばったりな予定に振り回される息子さんが実に不憫だ。

でも楽しかったよな?


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この日は無事に冬季ゲートを通過、川上牧丘線をぐいぐいと登る。
午前中の雨に洗われたばかりの空気がキラキラと輝いていた。


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17:50、大弛峠到着。


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この峠の標高は2365mもある。
「車で越えられる峠としては日本一高い峠です」と書かれており、長野側へ抜けることもできる。

駐車場から徒歩1分の位置には「大弛小屋」があり、その目の前には水の豊富なテントサイトもある。
以前はよくこの小屋をベースにして登山やアマチュア無線を楽しんだ思い出の地だ。



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野郎二人のいい加減な晩餐を開始する。


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食事を終えまったりしていると、どこからともなく美しいオカリナの音色が聞こえ始めた。
奏者は妙齢の女性、とても有名な方なのだそうだ。

談笑のひと時を過ごす。


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お疲れの息子さんは19:30には寝てしまった。
私は一人、読書と満天の星空を楽しんだ。

クッキリとした天の川が肉眼で見えていたので息子さんを起こそうかとも思ったが止めておいた。



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当たり前のことではあるが、これだけ標高が高ければかなり寒い。
朝にはなんと窓ガラスや、外に置いてあったカップの水が凍結していて驚いた。

もう少し寝かせておこうと思っていたが、登る朝日にいてもたってもいられず息子さんを叩き起こすことにした。
4:30、寒さに震えるミノムシを引きずりだす。


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5:30、「大弛峠」(2365m)スタート。
流石に半袖短パンでは寒かった。


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大弛小屋の横からは、すぐに木道階段となる。


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霜が凍りついておりツルツルと滑る。


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延々と続く木道階段が地味にキツい。
しかしこの階段のおかげで一気に標高を稼ぐことが出来るのだ。
よくぞこれだけの階段を整備したものだと思う。


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標高が上がり振り返ると、金峰山が見えるようになる。
そのやや左側に連なっているのは、昨日息子さんの見たがっていた南アルプスだ。

梅雨入りを忘れてしまうかのような透明度の高い朝である。


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この先に広がるであろう展望を思うと互いにペースが早くなる。
樹林帯は急ぎ足だ。


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木道階段が終わると再び視界が開けた。

丸い山容をした「北奥千丈岳」の右側に富士山が浮かんでいる。
南アルプスはその長大な稜線を、さらに南へと伸ばし始めた。

素晴らしい好天に当たったようだ。


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やがて本日一座目となる頂が近づいた。


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6:04、「前国師ヶ岳」(2570m)登頂。


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これが歩き始めて、僅かに30分程で得ることのできる展望だ。
文句のつけようがない。


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ここには再び戻って来ることになる。
小休止の後、更なる展望を求め歩き始めた。


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6:10、北奥千丈岳と国師ヶ岳との分岐点である「三繋平」(みつぎだいら)に到着。
まずは山梨百名山である国師ヶ岳へと向かう。


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歩き始めてからほんの僅かな時間しか経っていないので、ここが標高2500m以上の場所だとはとても思えない。
手付かずのダケカンバが実に美しい。


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美林はさらに美しさを増して行く。
登山道を照らす陽の光が、「その時」を演出してくれていた。


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さあ、いよいよだ。


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6:16、山梨百名山「国師ヶ岳」(2592m)登頂。


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実は、私は過去に数回登頂したことがある。
しかし山梨百名山が制定される以前のことだったので、今回登り直すことにしたのだ。



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以前はこれ程までの好天では無かったので、息子さんとの再訪の機会を与えてくれた山梨百名山に感謝である。
早速展望を確認してみよう。


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まず特徴的な五丈岩を持つ「金峰山」が近い。
右の頂は「朝日岳」だ。


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金峰山から視線を左に動かせば、青い稜線を引いた南アルプスが清々しい。
クッキリと浮かび上がった白峰三山が、息子さんを喜ばせてくれた。



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その更に先には、つい先日登頂したばかりの「黒金山」が丸い山容で佇んでいる。
左の三角錐が「牛首」、右が「乾徳山」だ。

黒金山での願いを叶えることができて感無量である。


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200mm望遠で寄せた日本の象徴は今日も美しかった。


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良い思い出ができたね。
存分に展望を楽しんだ後、次の目的地へと移動を開始した。


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実は今までの二座よりも素晴らしい展望を持つ山が、この丸い山容をした「北奥千丈岳」だ。



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北奥千丈岳は、国師ヶ岳から南へ15分程の場所に位置している。
奥秩父の最高峰でありながら、金峰山や国師ヶ岳があまりに有名なために訪れる人の少ない不遇の一座である。


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近代登山の始まった明治後半から大正の初期、奥秩父の魅力は原生林と渓谷にあると紹介したのは田部重治と木暮理太郎である。
彼らの著書に誘われ、多くの登山者が奥秩父の静けさを求めて入山するようになる。

そしてこの二人の功績を遥かに上回り、今も読み継がれている奥秩父のバイブル「奥秩父 正続二巻」を書き残したのが原全教だ。
原は延べ一千日を越える山行を行い、国師ヶ岳周辺をはじめ主脈はもちろん、南北に広がる山々を含めた無数の尾根と谷筋に足跡を残した。
猟師などからも山に関わる話を丁寧に聞き、それに古書の知識を加えて「奥秩父学」を完成させる。
原は、この不遇の一座である「北奥千丈岳」にも温かい視線を注いだ。
山頂に大岳(嶽)山奥ノ院が祀られていることから「ここをコクシ頂上、あるいは大岳山奥ノ院というのが適当であろう」と残している。

山梨百名山選定委員会もこの北奥千丈岳を重視し、これを含めて国師に代表させることを決定したのだ。


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さあ、もうすぐだよ。


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6:50、「北奥千丈岳」(2601m)登頂おめでとう!
ここが奥秩父の最高峰。

さあ、景色を楽しもうか。


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右から小川山・朝日岳・金峰山。
稜線上の登山道も良く見えている。

その奥に横たわっているのは八ヶ岳連峰である。
更に右奥には北アルプスまでを遠望することができた。


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望遠で寄せれば硫黄岳・横岳・赤岳が鮮明だ。
キレットの大天狗も良く尖っている。


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息子さんは金峰山は未踏なので、雪のついた頃に登らせてあげたいと考えている。


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南アルプスの重鎮達は、ほぼ全てを遠望することができる。
ここまで見ることのできる山は、そう多くはない。


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鋸岳・甲斐駒・仙丈ヶ岳。
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白峰三山。
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悪沢岳・赤石岳・聖岳。

この他、奥多摩方面などへの展望も素晴らしい北奥千丈岳は、私のおすすめの一座である。



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梅雨入りを忘れてしまうような快晴であったが、午後には崩れ始めるであろうと読んでいた。
このまま金峰山に行こうかと迷いもしたが、少々時間が足りないようだ。

よってもう少し行程の短い山に登ることに決め下山を開始した。


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日の当たらない木道階段はまだ凍結したままであった。
滑らないよう慎重に下りる。


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7:43、かなりビビりながらも無事に下山完了。
僅か2時間程度のハイキングではあったが、最高の展望を楽しむことが出来た。

おつかれさま。

さて、国師ヶ岳・北奥千丈岳からは魅力的な二つの登山道が伸びている。
一つは甲武信ヶ岳へと続き、もう一方は黒金山へと続く古の登山道である。
ここ最近、連続して奥秩父を訪れるようになり、昔思い描いていた西沢渓谷を起点とした大きな周回計画が頭から離れなくなった。
とても静かで、懐の大きい奥秩父に無性に惹かれてならない。

原は次のように書き残している。
「甲武信ヶ岳の山麓深く、遥かこの世から忘れ去られたような純朴な山村、その存在を思うがゆえに、秩父の山容が裏庭のように親しみ深いものに考えられるのであった。山高く桃源郷を護る人々。その純情を慕うがゆえに、秩父の山を捨て去るにしのびないのだ。」

改めて奥秩父の魅力を再認識した今回の山行であった。



おしまい。

今回も最後までお読み頂きまして、大変ありがとうございました。


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by yama-nobori | 2016-08-02 23:14 | 登山 2016 | Comments(2)
Commented by sen230727 at 2016-08-04 20:41
私は昨年6月27日に花の百名山と云うことで大弛峠から、シャクナゲの花を期待して登りました。一昨年に大月市の方から、大弛峠から金峰山と国師ヶ岳に一日で楽勝と言われトライしました。金峰山から下山して来て、峠まであと1時間ほどのポイントで突然の雷雨。雨具上は着たものの、下は瞬時にずぶ濡れで峠の駐車場に戻りました。降雨が止むのを数時間待ちましたが、根負けして国師ヶ岳登山を諦め入浴に向かった苦い思い出があります。昨年の期待の
シャクナゲの花も観られず残念!今年は春先寒かったんですネ。
Commented by yama-nobori at 2016-08-16 20:54
> sen230727さん

お返事またしても遅くなりました。

そうですか、それは残念でしたね!
来シーズン、また行程に余裕がありましたら是非登られてみてください。

今年は早々に戻られてしまいとても残念に感じておりましたが、またお会いできるチャンスであるとも思っています。
あの日のことがブログになるのは少々先になりそうですが、しばらくお待ち下さいませ。
もちろん「あのこと」は内緒にしておきますw
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