異彩を放つ岩稜の雄①@鋸岳 2016.05.28(土)



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鋸岳(のこぎりだけ)は赤石山脈北端に位置する標高2,685mの山である。
甲斐駒ヶ岳の北西に隣接するこの山は、その名のごとく鋸状の急峻な山容をしており、岩稜コースの少ない山梨県内の山において、異彩を放つ存在だ。
三角点は北端に近いピーク (2,606.8m)にあるが、南側の第一高点(2,685m)・第三項点・第二高点(2,675m)の方が高くなっている。

※写真は仙丈ヶ岳からの鋸岳(2016.03.12)




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山梨県の行ったグレーティングの最高難易度に含まれているのがこの鋸岳である。

しかし結論から書いてしまうと、今回の「釜無川ゲート~第一高点ピストン」に限っては、集中力を切らすこと無く継続して三点支持を行うことが出来さえすれば、技術的に難しい通過点は存在しない。
無論グリーンシーズンであることが前提とはなるが、ルーファイも不要であり、黒戸尾根を日帰りできる程度の体力があれば登頂に不安は無いと思われる。
「笊ヶ岳」「黒河内岳」「鶏冠山」、そしてこの「鋸岳」が山梨百名山の四天王とされているが、躊躇されている方がいるならば挑戦して頂きたいとも思う。

但し、「甲斐駒~鋸岳」「戸台からの周回」については、ルーファイ・岩登りの技術・ビバークなどの総合力が試される山であること、そして、登山者が極端に少ないため、他力本願では登ることの出来ない山であるということを忘れてはならない。


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早朝から歩き始める予定であったので前入りを行った。
国道20号を諏訪方面へと走り「道の駅下蔦木」を通過、その先しばらく進むと今は廃業している「たけち温泉」の看板が現れる。
これを目印に釜無川林道へと入って行く。


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車道はほぼ破砕岩が敷き詰められており、白い砂埃を巻き上げながら車を走らせる。
途中、明日登ることになる「鋸岳第一高点」の小さな突起が、谷間の左端に見えていた。


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釜無川コースで鬼門となるのがこの釜無川ゲートの存在だ。
この先は一切の一般車両は通過することが許されない。
登山道開始点である「岩小屋(ログハウス)」までは、片道9.5kmの林道歩きが始まるのである。

ただ言い換えれば、この林道歩きを克服することができさえすれば、「鋸岳」への登頂は決して難しいことではない(第一高点に限る)。
よって、自転車を利用する登山者や、林道終点にある「岩小屋」にビバークする者も少なくは無い。

今回は徒歩でのピストンである。


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この林道は実はかなりの斜度がある。
釜無川ゲートの標高はおよそ950mであるが、岩小屋は1570mだ。
体力温存に注力したいアプローチである。

自転車の場合、6km程度までは漕いで行けると思われるがその後は押すことになりそうだ。
路面状態は大騒ぎをするほど悪くはない。


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3km程進むと正面に「横岳」が見え始める。
林道終点からは、あの横岳の左にある「横岳峠」に立ち、左方向に隠れている「鋸岳」を目指すことになる。
取り付き点のある岩小屋はまだまだ遠い。


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500m進む毎に標識が現れ、現在位置を把握することが出来る。



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看板は「9.0km」で終わる。
所要時間は2~2.5h程度である。
※今回は諸事情有り所要時間は記載しないことにする。

目の前に迫った頂が、遥か遠くに見えていた「横岳」、その左の窪地が「横岳峠」である。
横岳の下部には赤い屋根の「岩小屋」が見えている。


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こちらが「岩小屋」、通称ログハウスである。
雨天時はこのテラス部分が良いビバーク地となる。
晴天時には、周囲に平地も多い上に水も豊富に摂ることが出来るので、日程に余裕のある方はキャンプなどを楽しみ明日への英気を養うのが良いかもしれない。


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「岩小屋」からは河原に降り、渡渉を行う。
ルートマーカーは豊富であるため道迷いの不安は無い。

岩小屋の標高は1570m、次に目指す「横岳峠」は1987mだ。


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その時々の状況にはよるが、比較的大きな渡渉は二回である。


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ご覧の通りルートは明瞭だ。
徐々に沢を離れて急登となる。


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釜無川(富士川)は鋸岳を水源に、御勅使川・笛吹川等の支川と合流しながら甲府盆地を流下しさらに早川と合流、やがて駿河湾へと注ぐ。
建設省の立てた源流碑がここにある。


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樹林帯に入ってもルートは明瞭だ。
良く踏まれており歩きやすい。


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植生が豊かになりバイケイソウの群生が見られるようになると横岳峠は近い。


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「横岳峠」(1987m)からは、いよいよ稜線を目指したアルバイトとなる。


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まず、横岳峠からは標高100m程を一気に登り詰め、平坦地を進む。
その後再び450mの急登となり、岩稜の稜線に立つこととなる。

登山道は南アルプスらしい樹林帯の景観となった。


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振り返って見た「横岳」(2142m)が鋭利である。


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展望の無かった樹林帯の先が明るくなった。


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思い出の詰まった、大好きな仙丈ヶ岳が出迎えてくれた。
林道や戸台の河原も良く見えている。


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北岳~間ノ岳の姿には思わず歓喜の声を上げる。
長い林道歩きに備え、曇天のこの日を決行日として選んだが、思いの外展望もあり嬉しくなった。


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その後は時おり展望の開ける通過点を通り、尾根に沿って標高を上げて行く。
徐々に変化する南アルプスの秀峰達の姿が素晴らしかった。


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倒木や樹の枝が邪魔をする通過点がある。
しかし漕ぐ程ではない上にルートは至って明瞭だ。

有志がメンテナンスを行っているのであろう、新しい枝打ちの跡があった。
実にありがたい。


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やがて高山性の石楠花が見られるようになる。


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仙丈ヶ岳が長大な「地蔵尾根」を伸ばしている。
仲間達とラッセルしたのは楽しい思い出だ。

「歌宿」を見るとあの悲しかった思い出も蘇る。

南アルプス北部には、登山を始めた頃からの懐かしい無数の記憶が染み付いている。


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二度現れた展望地を過ぎると再び樹林帯の急登となる。


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しかしこの先への期待感も有り、その足取りは軽かった。


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樹林帯を飛び出し再び岩稜のきわに立つ。
遥か遠くに見えていた鋸岳第一高点を木々の間から初めて捉えることが出来た。


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さらなる展望を求め先を急ぐ。


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木々がなくなり、南アルプスにおいて一際異彩を放つ「鋸岳」とついに対峙した。
角兵衛沢の広大なガレ沢が印象的だ。


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すぐ近くに見えているが、その頂はまだまだ遠い。
ここから先は岩稜帯歩きとなり、やや緊張感のあるアップダウンが始まるようになる。

ストックを使用していたなら収納し、ヘルメットの装着が好ましい。


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北岳~間ノ岳~仙丈ヶ岳がバランス良く収まるようになる。
楽しい岩稜の稜線歩きが始まった。


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細い踏み跡を辿り、主稜線より僅かに外れている三角点ピークに立ち寄ってみる。


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快適に眠ることができそうな幕営跡があった。


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やや煩い藪を抜けると「三角点ピーク」 (2,606.8m)となる。


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登ってきた尾根を振り返ると、雲海の上に中央アルプスが浮かんでいた。

久しぶりに見る、標高2500m以上からの景色はやはり別格だ。
他に登山者の姿も無く、静かな山の声を聞いた。


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さあ、鋸岳第一高点を目指そうか。



今回も最後までお読みいただきまして大変ありがとうございました。


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by yama-nobori | 2016-06-24 10:00 | 登山 2016 | Comments(2)
Commented by 梨丸 at 2016-08-28 17:47 x
はじめまして、ゆたかさん。

生活のまんなかに『山』があるって、なんて素敵な事でしょうか。

思わずウンウンと頷いてしまいました!

先日、私とカミさん二人で鋸岳にアタックして参りました。

鋸岳は難易度高過ぎて私らには無理だと思っていたところ、調べていくうちに、ゆたかさんのブログに辿り着いて拝読させていただきました。

ルートの詳細を上手な文書と綺麗な写真でくまなく紹介されている当ブログのおかげでルートの状況が手に取るように分かり、アタック当日も不安なく歩くことが出来ました。

本当にありがとうございました。

ゆたかさんは、山梨100名山を目指されているご様子ですね。

私達も同様に地元の岐阜100山(計124山)の全山登頂をかれこれ10数年前から目指してますが、なかなか思うようには進捗してません(^_^;)

ゆたかさんが山梨100名山を全山登頂されることをお祈りします。

今後も、ゆたかさんのホームエリアの南アルプス・八ヶ岳・丹沢・奥秩父の山々を目指す時にこちらのブログを参考書とさせていただきますね。

もしお許しいただけるなら私たちのブログとリンクさせていただけると有難いのですが如何でしょうか。

ではまた、ご訪問させていただきます。
Commented by yama-nobori at 2016-08-28 20:23
梨丸さんはじめまして!
コメントありがとうございます!

こんな独りよがりなブログが、少しでもお役にたてたようでとっても嬉しいです(^^)/
奥様と登山なんて本当に羨ましいです。
これからも安全第一で、岐阜100山達成されて下さい!

ブロガーさんなんですね(^^)
こんな稚拙なブログでよろしければぜひぜひ繋げてやって下さいませ。
今後共、末永くよろしくお願い致します。
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