※全てスマホでの撮影です。 1973年創業の老舗登山靴店「ゴロー」は巣鴨にある小さなお店です。 都内にはトレースが無く、コンパスも役に立たないことは先日身にしみてわかりました。 よって、少々お値段が張りますが都内在住の名ガイドK嬢を雇いました。 私は山道具にお金をかけるのが嫌いで、ショップへ足を運ぶことは滅多にありません。 ザックや靴ですら通販でのアウトレット品、夏場に至ってはユニクロとワークマンです。 その他のギア類もここ10年程度は同じものを使い続けています。 しかしこんな私でも、この「ゴロー」さんだけはずっとずっと憧れであった靴屋さんなのであります。 今まで冬季に履いていた靴は、毎回ひどい靴擦れを起こす安物の登山靴。 まあこれでも特に不満はありませんでしたが、残雪期におそろしく水漏れしている事が判明しました。 これでは流石に凍傷になるリスクが高いので、冬靴だけはきちんとしたものにしておこうと、重い腰をあげたのです。 現在はハイテク素材の靴が大半ですが、最終的に革ほど馴染むものはありません。 履きこむことで、その人の足にピッタリと合っていくのです。 同じ道具と長く付き合っていける・・・それって凄くいいじゃないか。 但し下山後のメンテナンスは欠かすことが出来ません。 詳しくは、ゴローさんのHPでどうぞ。 ゴロー最大の特徴は、足を細かく採寸し、人それぞれの足のクセや好みに合わせ、ピッタリの靴を作ってくれるところにあります。 購入後の微調整も納得が行くまで繰り返し行い、メンテナンス・ソックス選び・紐の結び方に至るまで親身になって相談に乗ってくれるのです。 アイゼン装着が前提となる冬靴ならばソールの摩耗はほぼ起こりません。 大切にメンテナンスを続けていけば、長い間、ずっとずっと使い続けることが可能となるのです。 私はおそらく一生ものになるのでは無いかと考えここを訪れました。 ちなみに登山家の植村直己氏がゴローの登山靴を愛用していたのはよく知られていますね。 三浦雄一郎氏などの足型もあるようですよ(^^) 店に到着すると、二人して「ゴロー」さんの写真を撮りまくり。 入店するまでにかなりの時間を要しました(笑) ドアを開けると、店主であり職人の森本勇夫さんがいらっしゃいました。 平日の15:00過ぎでしたが数名のお客さんがおり、職人さんがマンツーマンで対応していました。 わざわざ高知からお越しの方もいらっしゃいましたよ(^^) 店内はずっとずっと憧れ続けてきた空間です。 本来の目的を忘れそうになりつつも、お店そのものの空気感を楽しみながら2Fへと登って行きました。 2Fに上がったタイミングでは、みなさんかなり忙しそうで、我々は居場所が無いような状態でした。 でもお客さん達とのやりとりを見聞きしてると、実に的確なアドバイスと対応をされており、とても気持ちがいい(^^) 「なるほどな~」と思いながら話を聞いていました。 会話の端々に「作り手の立場」「売り手の立場」「お客様の足は・・・」などの言葉がたくさん出てきて、「誇りを持って仕事をしている職人集団なんだな」と感じましたよ。 そしてみなさん、最後には自分だけの靴を笑顔で持ち帰って行かれました(^^) 3000m級の厳冬期縦走が可能な、重厚な革張りの登山靴です。 よく「S-8」というスリーシーズン用の靴でも1月の赤岳には登れます等の記事を目にしますが、それは個人差によるところも大きいですし、気象条件や雪質でも変わってくる話です。 オールシーズン履いていれば、結局のところソールの摩耗が激しくなるため靴の寿命を縮めてしまいます。 トレードオフ、万能なものはありません。 夏靴と冬靴は分けるべきでしょう。 近年接着剤の強度が上がり、ソール張替えは2回が限度のようです。 「厳冬期の3000m峰を数日かけて縦走する」「寒さには強い体質だ」「装備は30~40kg程度」、この条件で「C-6」というモデルで問題ないかと尋ねます。 すると「問題ない。しかし、エグリーはC-6に冬用のブーティウレタンを入れたもので温かい。」との説明を受けました。 それに私は一生ものの相棒を探しに来たのです。 ベースは迷わず「エグリー」に決まりました。 これが山道具ショップであったなら即座に購入していたでしょう。 しかしゴローでは、ここからが本番。 まずは採寸を行い、「この足だと、あんなことがあったか?こんなことが起きなかったか?」などなどのやりとりが行われます。 全ては店員さんのお察しの通り。 靴ずれ、痛みを感じる部分、場面などなど・・・。 そして、一般的な足より甲が高い・左右で長さが違う・幅が狭いなどなどの「クセ」をmm単位で調整を行いながら、落とし所を見つけていきます。 すると、あり合わせのもので可能な範囲での調整でしたが、初めて足を通した時とは比べ物にならない程の、包み込まれるような感覚の靴となりました。 重量は片足で1.2kgありますが、重さも全く気になりません。 今まで如何にいい加減な靴選びをしてきたのだろうかと思い知ることとなりました。 しかも何足履き潰してきたのだろう・・・。 実は「こば金」を付けワンタッチアイゼンを使えるようにしておこうかと考えていましたが、これは靴の寿命を縮めるのだそうです。 ワンタッチアイゼンにはそもそも魅力を感じてこなかったので、「こば金」の取り付けは見送りました。 逆に取り付けたくなれば15分で対応可能とのこと。 この冬は20年付き合ってきたアイゼンともお別れだ! 完成は9/10以降になるようです。 受け取り時に最終調整を行い、メンテンナンス方法などを教えて頂き、試履、再調整というお付き合いが続いて行くのだと思います。 5000円以上の前金を支払います。 そもそも冬までに調整が済めば良いので、のんびりと「その日」を待つことにします(^^) 工房では、現在8名の職人さんが登山靴をつくっているんだそうですよ。 最後に、来店される際には使用される靴下を2つ持って行かれて下さい。 ゴローの靴は、靴下を2重履きすることが前提に設計されています。 ありゃりゃ?(笑) ゴローに来るまでは「1mmも購入するつもりはない」「メンテナンスが面倒だからいらない」「ゴローなうをするだけだ」と言っていたK嬢でしたが、気づけば購入の最終段階である微調整(^^; 底が柔らかめの靴で、スリ-シ-ズンの登山と冬の低山を楽しむことが可能な縦走用のモデルです。 紐は赤を選択。 納期は同じく9/10以降。 私とは違い、今すぐにでも活躍可能なスリーシーズン登山靴です。 その待ち遠しさは私の数倍であろう(笑) 結局、3時間もゴローの虜となっておりました。 実は私・・・東京駅駅舎を見たのはこの日が初めてでした。 他にも、皇居・国会議事堂・日本橋・・・う~ん、その他もろもろ名前も出てこないレベルで都内の名所(?)を見たことが無いのです。 凄いぜ東京!! 一応、都民なんですけどね(^^; 実は行ってみたかったお店があったのです(^^) 「SUNTORY MASTER’S DREAM HOUSE」です。 「ゴローにかんぱ~い!」 う~ん、たまには都会で飲むのも悪くない。 いや、すっごく楽しいね!!(^^) ゴローのその後はまたいずれ、レポートさせて頂きます。 しかしゴロー・・・買う気の無い人は近寄らないほうが良いですよ? 間違いなくK嬢の様になってしまう、実に魅力的な恐ろしいお店ですから!! あっ!「とげぬき地蔵」にも行ったこと無いや(笑) またガイド雇うかな(^^; おしまい。 ↓励みになりますので、よろしかったら『ぽち』っとお願い致します(^^)/ 登山ランキング
by yama-nobori
| 2015-06-30 16:19
| ギア
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Comments(4)
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sugishoo at 2015-06-30 21:08
こんばんは、ゆたかさん
恐ろしや「ゴロー」 恐ろしや「東京」 どちらも、怖くて足がすくみます。
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nekonoheyah at 2015-07-01 06:47
はぁ~~~~~・・・・・
しみじみ読ませていただきました。 登山なぞとだいそれたことはいたしませぬが、 なかなか 歩くことがムヅカシイ身体をかかえております。 靴、インソール、重要ですねぇ。 福岡まで行けば(あ、わたし広島です)医療用の靴をつくってくれるところがあるのですが、 かぁ~~るく20万します。 もう、20脚くらい踏んじゃってますよ。(笑) あ、にのあし、さんのあし、の駄洒落です~~ ゴローさん。 東京。 あこがれます。
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yama-nobori at 2015-07-01 09:58
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yama-nobori at 2015-07-01 10:10
nekonoheyahさん、おはようございます!
お読み頂きありがとうございました。 ゴローさんは普通の靴も作っております。厳冬期の登山靴がフルオーダーであの程度のお値段なので、一度ご相談されてみては如何でしょう。足型などを郵送しベースを製作、その後電話などのサポートを元に調整してもらうことも可能です。実際、頻繁にそのようなやりとりをされておりました。海外ともそのような方法で調整しているようなので、職人意識の高いプロに身を委ねるのは気持ちが良いと思います。無責任な事は言えませんが、医療用の靴を送り、それをベースにして作ってくれるかもしれませんね。職人さんにありがちな気むずかしい感じは一切感じませんでした。 ゴローさん、良いお店です(^^)
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