空木岳(うつぎだけ)は長野県駒ヶ根市、飯島町、大桑村にまたがる標高2,864 mの山であり、木曽山脈(中央アルプス)では木曽駒ヶ岳に次ぐ第二の高峰、日本百名山の一座である。 『日本百名山』の著者である深田久弥が同著を執筆する際、木曽山脈南半分から一座を選ぼうとして南駒ヶ岳と空木岳とで迷った結果、最終的にはわずかに背が高いこと、そして山名の美しさから空木を選んだという。 深田久弥は「日本百名山」にこう綴る。 「空木、空木、何というひびきのよい優しい名前だろう。もし私が詩人であったなら、空木という美しい韻を畳み入れて、この山に献じる詩を作りたいところだ」。 深田久弥は山名も喜ばしいという空木岳に登り、雲一つない日の出を眺め、そこからは北へ縦走し、宝剣岳、北側主峰の駒ヶ岳に登っている。 今回はそんな残雪の空木岳を、K嬢・I氏と登った3人パーティーでの山行レポとなります。 前入りのため中央道を駒ヶ根ICへ向け走ります。 途中八ヶ岳PAへ立ち寄ると、翌日に開山祭を控えた八ヶ岳が美しい色に染まっていました。 いよいよ夏山シーズンの始まりですねぇ。 ここではいつも「舞茸天丼大盛り汁だく」を頼みます。 すると、すっかり顔を覚えていてくれたスタッフさんが、更に「汁だく」分の小皿を追加して下さいました(^^; こちらこそ、いつも美味しいご飯をありがとうございます(笑) 車中泊場所は木曽駒ヶ岳登山口である菅の台バスセンター。 駒ヶ根ICから僅か3分、綺麗なトイレもあり駐車料金は最近100円値上げされたとは言え600円/1回。 とてもリーズナブルで大勢の車中泊者で賑わっておりました。 空木岳登山にはいくつかのルートが選択可能ですが、今回は最も一般的な池山尾根登山道となります。 この登山口まではかなりの悪路であり駐車場も狭いですから、菅の台バスセンターに車を残したままタクシーを利用するのも良いかもしれませんね。 今回は登攀力のある車をお持ちのI氏に乗せてもらい、4:56、登山口目指し出発となりました。 現在、災害箇所の復旧工事が行われている為に「池山林道終点」(1365m)と呼ばれる最終駐車場までは車で進む事が出来ません。 その約1.7km手前の東屋のある場所が現在の駐車場となっており(1250m)、綺麗に駐車しても10台がぎりぎりの僅かなスペースです。 ここに到着した5:30、我々の車でほぼ満車となりました。 但し、登山口はこの場所から約500m戻り、登山道入口看板から登山道へ入ります。 三本木地蔵を経て「池山林道終点」までは約30分の行程です。 ですから無理にここまで登って来ないで、路肩にあるいくつかのスペースを利用するのも良い手ではないかとも思われました。 ただ、今回は私の勘違いでそのまま林道を歩き「池山林道終点」へと向かってしまいました。 結果歩きやすく時間もなかり短縮可能ですが、進入禁止であったようです。 申し訳ない(^^; 林道を20分程歩き、「池山林道終点」(1365m)に到着です。 この日の行程は標高差1600m、「小地獄」「大地獄」「迷い尾根」等々、物騒な名前のついたハードな行程となります。 準備を整え6:00、空木岳へ向けいざ出発!! しばらくの間は大変に良く整備された登山道を進みます。 歩き始めて早々、I氏の見たがっていたギンリョウソウがいたるところに生えていました。 見られて良かったねぇ(^^) この日の天気予報は雨の心配はないものの曇り。 果たして青空の似合う空木岳山頂に立つことが出来るのだろうか。 それにしても美しい新緑です。 小鳥たちの歌声が心地よい。 この日は、空木岳山頂直下にある「駒峰ヒュッテ」の冬季開放されている土間泊を予定しています。 3~4名が限界という広さらしいですから先客がいたら・・・と考えていましたが、出会う登山者はみな軽装。 その心配は無いようです。 7:30、池山小屋分岐(1700m)にある湧水の水場に到着です。 この水場は枯れることがありませんし、とても美味しいお水です。 この場所までは最低限度の水を携行すれば良いでしょう。 今回は残雪を溶かして水を得ようと決めていましたが、ついついこの水の美味しさに負け、またしても5L給水。 いつも通りの30kgを優に超える総重量となりました(T_T) この水場からも、しばらくは歩きやすい斜度の弱い登山道が続きます。 K嬢の調子は良さそうです(^^) 百名山ハンターであるI氏は、実は前日も別の山に登ってきています。 連続登山でちょっとお疲れみたい。 頑張れ!! シダ・マイズルソウ・ヒトリシズカ・ゴゼンタチバナ・コイワカガミなどへ植生が変わり始め、いよいよ本格的な登山が始まります。 「マセナギ」と呼ばれる辺りからはいくつかの登山道を見つけることが出来ます。 一番太いルートを辿っても良いですし、このような痩せ尾根を歩いても外れなければ問題ありません。 踏み跡の薄いルートを取れば、腐葉土のふかふかな絨毯トレイルを歩くとこが出来る上に、可愛らしいコイワカガミの群生に出会うことも出来ます(^^) 大好きな一葉ランも4株見つけることが出来ました。 登山道にのあちらこちらに梯子がかけられるようになり始め、この看板が現れると難所である「大地獄」「小地獄」が始まります。 「大地獄」と書かれています。 物騒な名前ですが、現在ではしっかりとした階段と鎖が設置されていますから三点確保をしていれば問題はありません。 但し、予めストックは仕舞っておいたほうが良いでしょう。 慎重に慎重に・・・・。 ちょっとガスが強くなってきてしまいました。 かなり崩落の進んだ場所もありますが、再びこの看板が現れれば、ひとまず難所は終了です。 当初、山頂直下の駒峰ヒュッテ(2800m)を利用する予定でしたが、翌朝も含めあまり展望が望めそうにありません。 よって、この先にある空木平避難小屋(2520m)にまず荷物をデポし、軽荷で山頂をピストンする計画へと変更を行いました。 宿泊は空木平避難小屋で行います。 9:50、気温ー1℃、空木平避難小屋へ向け出発です!! ただ、、、この避難小屋・・・出るんですよね(笑) ものすごく有名なんですわ。 しかもI氏、そういう体質らしいんです。 私?あっ、全く問題ありません。 以前誰もいない山中で一晩中テントの周りを人(?)がぐるぐるぐるぐる歩き続けていたのは流石に怖ったですけど。 登山道の上にスノーブリッジが出来ています。 絶対落ちたくないな(謎) すっかり雪好きになったねぇ。 慣れていない人はアイゼンを欲しがるレベルなんだけどね、もうひと目で不要だって思えるでしょ? 何事も経験ですなぁ。 当初の予定ではこのまま空木岳へ向かう予定でしたが、左方向の じゃあ、次回も残雪の楽しめるところに出かけようか?(^^) 夏道の見え始めているいくつかの雪上トラバースを過ぎると突然視界が開け、実に美しい庭園の様な場所に踊り出ます。 そう、ここが空木平(空木平カール)の底部です。 I氏は昨日の疲れからか、少々遅れての到着となりました。 内部は大変に綺麗で、トイレも利用可能でした。 20人はゆうに眠ることの出来る広さです。 ここは本当に水が豊富なところなんです。 少なくとも今現在は清流がガンガン流れています。 つまり・・・。 5Lも水を持ってくる奴は大馬鹿者です(T_T) おそらく誰も来ないと思いましたが 一応チェーンスパイクを使用していますが、全く役に立たない雪質です。 慣れた方はツボ足で問題ありませんが、不安な方は6本の軽アイゼンがあると良いでしょう。 まあ無理にこのルートを使わず駒石側から登っても良いですしね(^^) 時折ガスが切れて、目指す山頂と駒峰ヒュッテが見えるようになってきました。 お疲れモードのI氏は、山頂ピストンの予定です。 こちらの下山はおそらく30分もかかりませんし、危険箇所も無いため別行動を行いました。 頑張れI氏。 歩くのを止めなければたどり着ける。 無理だと思うなら戻る。 これしかない。 たっぷりの残雪に大喜びな人(笑) 今回下山には使わなかったけれど、避難小屋までは滑るか走るかすれば15分もあれば戻れそうだなぁ。 一足先に懐かしの駒峰ヒュッテを偵察してくるよ。 ここならコケても怪我はしない。 完全にハイマツ帯になったね。 こちらが標高2800mに建つ「駒峰ヒュッテ」です。 駒峰山岳会さんが管理・運営を行っており、とても綺麗で大好きな山小屋です。 2015年の営業は7/18からで、現在は土間部分のみが開放されています。 3~4名は眠れるでしょうか、ありがたい話です。 山頂まで100mというのも嬉しいですね。 トイレも大変綺麗です。 ※冬季は利用出来ません ちょっとこの様子では体力的にも止めておいて正解だったことでしょう。 かなりの標高差があるこの空木岳ですが、登山道に変化があるので楽しいんだそうです(^^) 頑張れ!! 14:05、木曽山脈第二の高峰「空木岳」(2864m)への初登頂おめでとう!! でもK嬢は満足そうだし、良かった良かった(^^)/ 今度は木曽駒からここまで縦走しようね。 あと南駒ヶ岳へも付き合ってくださいな。 青空の空木岳は綺麗だぞ~! ここから先は奇岩の点在する素晴らしい稜線歩きになるんだよ(^^) 第二部へと続きます(^^)/
by yama-nobori
| 2015-06-09 13:53
| 登山 2015
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Comments(2)
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sugishoo at 2015-06-09 22:46
こんばんは、ゆたかさん
木曽駒ヶ岳は馴染み深いですが、空木岳は知りませんでした? この時期でも、雪渓がかなり有りますね。 お化け屋敷の宿泊、何事も起こりません様に祈ります。
1
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yama-nobori at 2015-06-11 10:25
sugishooさん、こんにちは!
そうですか、空木岳・・・確かにあまりメジャーではない山かもしれませんね。 今回は青空の空木岳をお見せできずに申し訳ありませんでした。 記事中に昨年登った空木岳からの景色をリンクしてありますのでよろしければご覧頂ければと思います。 お化けは・・・続きをどうぞ(笑)
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