この硫黄岳山荘周辺は八ヶ岳でも最も風の強い場所となります。 その証拠に雪が風に吹き飛ばされ、登山道が露出しています。 しかしこの日はほぼ無風でした(^^) ここには皇太子さまが泊まられたこともあり、トイレはなんとペーパーも流せる水洗です。 ※冬季の営業は行ってはおりません。 ここから先は厳冬期ならではの危険なルートとなります。 まずは目の前の岩を西斜面からトラバースします。 ピッケルでバランスを取りながら、気温が高く緩くなっている雪面を慎重に踏んで通過します。 ここまででK嬢が「恐い」と言ったら引き返すつもりでしたが、高度感に対する耐性が高いようです(^^) アイゼンを引っ掛けないように慎重に慎重に・・・。 そして、その先の斜面を登り切ると・・・ 厳冬期横岳登頂おめでとう! 横岳からは、硫黄岳とはまた違った、素晴らしい大パノラマ! 赤岳-阿弥陀岳の向こうには南アが勢揃い。 矢印は早朝ラッセルを終えたポイントです。 みなさん、山座同定できますか?(^^) 赤岳直下に見えています。 さて、夏場にはあまり印象に残らないこの横岳ですが、厳冬期ともなれば赤岳より恐れられる存在です。 その理由はこの先にあるのです。 核心部へ向かいます。 さらば横岳! どうかすぐに戻ってくることになりませんように(笑) 気持ちのよい陵線歩きが続きます。 赤岳方向である右、西側斜面を進みます。 この日は幸いな事に風も無く、雪が締まってアイゼンが良く効きました。 赤岳展望荘までの最大危険箇所を越え、かなり「ほっ」としました。 しかし時間的には少々遅れてしまったので、赤岳登頂は見送ることとしました。 でも良いのです、これで赤岳主稜線をつなげることが出来たんだから(^^) 快晴・無風・貸し切りの陵線歩きなんてそうそう出来ることじゃあありません! コーラが美味かった! そして牛丼とカレーうどんで一息つきました。 ※行動中の登山者にはビールは売ってくれません。 下山には、あの日、必死で上り詰めた地蔵尾根を利用します。 K嬢曰く「はじめて山で怖いと思った」そうです。 本日最後にして最大の難所に挑みます! 前回K嬢が「恐い」と言ったナイフリッジです。 もちろん足を滑らせたら終わりです。 しつこいくらいに足運びの声掛けを行います。 貸し切りで良かった・・・。 低山ならマナー違反で笑っていられるレベルですが、地蔵尾根でのシリセードは厳禁です。 気温の上がってくるこれからの季節は特に止めて頂きたいと強く思いました。 八ヶ岳ブルーに感謝! さあ、名残惜しいけれど帰ろうか! 振り返ると、二人で歩いた横岳陵線が見えていました。 A嬢にもこの景色を見せてあげたかったな(T_T) この最後の最後にある地味な登りでの会話もいつも一緒です。 K嬢:「登りつかれるー。あと何分?」 この日は休憩時間も含みますが、11時間近くも行動していました。 お疲れ様ー! これだけ雪深い今年の八ヶ岳ですが、春の足音は確実に近づいて来ているようです。 八ヶ岳が限られた人達のものである雪山であるのもあと僅か。 残された時間で、もう少し登ってみようと考えています。 今回、厳しさと喜びを教えてくれた八ヶ岳を益々好きになりました。 さあ、今週は南側から赤岳を眺めて見ようかな! おしまい。
by yama-nobori
| 2015-02-18 13:29
| 登山 2015
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Comments(12)
はじめまして!
ネットを徘徊していたところ偶然にお見かけして、あまりにそそられる写真ばかりでしたのでコメントさせていただきました♪ 写真もキレイで人物も程よく入っているのでライヴ感もとてもいいカンジですし、ルートのコンディションもわかりやすく参考になります。自分も八ヶ岳ばかり歩いているのですが厳冬期の赤岳〜阿弥陀などは登っていないので「厳冬期八ヶ岳連峰主峰への挑戦」は楽しく拝見させていただきました。また寄らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
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sugishoo at 2015-02-18 21:27
こんばんは、ゆたかさん
八ヶ岳の主峰赤岳はやはりかっこいい山ですね! 山頂はきわめて居ませんが、前にコメントした初恋の山です。 今回のA嬢さんも晴れた日の雪山を味わわせてあげたかったですね。前の吹雪く中赤岳山頂を踏破されたK嬢さんは今回、晴天での八ヶ岳縦走は良い経験をされたと思います。 サポートお疲れ様でした。 素人の私が上から目線でごめんなさい。
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もも
at 2015-02-18 23:21
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こんばんは。いつも素敵な写真で雪山楽しませていただいています。毎週雪山に行く体力と技術うらやましいかぎりです。
私も少しずつステップアップしているところなので参考(レベル高いですが)にさせていただいています。今週赤岳鉱泉泊(ステーキだといいなぁ)、硫黄岳を目指しています。ところで硫黄岳はわかんを使うことはないですか?ラッセルでもわかんは使わない?みなさんわかんって持参されているのでしょうか。初心者の質問で申し訳ありませんが教えてください。あと注意すべきことありましたらアドバイスお願いします。けっして無理はしない予定です。
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yama-nobori at 2015-02-19 07:49
ponchanさん、こんな辺境のblogにコメント頂きましてありがとうございます!いつもひとりよがりに写真を貼りまくっていますので、重くてすみません(笑)今年の八ケ岳は早い時期から雪付きが良くてずいぶんと楽しめましたよねー。また遊びにお出でください(^^)
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yama-nobori at 2015-02-19 07:55
sugishooさん、おはようございます!
大抵の山は山頂付近の稜線に乗ると迫力を失って行きますが、赤岳は益々迫って来る感じでカッコいいですね。「初恋の山」素敵な言葉ですね(^^)私の初恋の山は「北岳」です。残雪期には挑戦したいなと思っています! A嬢はどうやら雪女のようなので、次の山行予定が今から心配です(笑)
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yama-nobori at 2015-02-19 08:07
ももさん、おはようございます!!
おっ!硫黄岳に挑戦されるんですね(^^) まずご質問の件ですが、わかん・スノーシューは不要です。どのルートも良く踏まれていますし「けっして無理はしない」との事ですから、仮に前日まで降雪がありルートが無い場合でも先頭を歩かれることは無いことと思います。よって、過度なラッセルにはなりません。それよりも、林道歩きはツボ足の方が多いのですが凍結箇所がかなりあり、皆さん滑っています。もしお持ちでしたらチェーンスパイクなどの簡易アイゼンをスタート時点からつけていくと軽くて力のロスも起きにくく快適です。赤岳鉱泉までそのままで大丈夫です。ただ本アイゼンをつけるのは足の負担が大きいので止めたほうが良いと思います。アドバイスとしては、朝食は自炊にしてツアーの出発より早く出ると(但し、数名先行者がいると良いですね)、ご自分のペースで歩けて良いと思います。また稜線に上がると急に風が出てきますから、バラクラ・ゴーグル・ウェアなどはその手前で調整されると良いと思います。また何かありましたらコメント下さいねー!
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もも
at 2015-02-19 19:40
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ゆたかさん 早速のアドバイスありがとうございます!!軽アイゼン持参します。硫黄岳をめざすかたは“わかん”使わないにしてもみなさん持参されているんでしょうか?“わかん”も持参せずに八ヶ岳に!なんて目でみられたらと不安です・・・。
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yama-nobori at 2015-02-19 20:21
ももさん、こんばんは!
ワカンは不要です! 降雪直後で先行者がほとんどいないような山でしたら”そのような目”で見られることがあるかもしれませんが、今回の硫黄岳においてはその必要は全くありません。むしろ軽量化に努め、綺麗にパッキングされているほうが”スマートな登山者”だと見てもらえると思いますよ(^^)当日行かれてみればわかりますが、わかんを装備している方は1割にも満たないと思います。
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cafekazu
at 2015-02-22 19:14
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赤岳の山頂は踏めませんでしたが、充実の山行、良かったですね!
ぼくも今回の口惜しさをバネに、もう一度挑戦したいです。 自分の目で、この最高の景色は見られませんでしたが、画像で見られて(ひとまず)満足です。 レベルを上げて、またチャレンジしますっ!
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yama-nobori at 2015-02-24 10:15
cafekazuさんの天狗も素晴らしかったですね!
東天狗から西天狗までの陵線が大好きなんです(^^) 西天狗のルートには「西尾根」もあります。 この時期はかなりガッツリになりますが、トレーニングに如何でしょう? 何かご計画されているようでしたら是非お声がけくださいね!
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スリップ
at 2019-03-10 19:30
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シリセードがマナー違反?
誰が決めたの? 羨ましいから、自分ができないからひがんでるのかな? ステップが消えるから天気よければなんて理由はやめてね。ステップがないと乗り降りりできないスキルや装備で山に来るのやめてください。それこそ山登りのマナー違反。
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yama-nobori at 2019-03-11 15:28
> スリップさん
ご指導ご鞭撻ありがとうございます(^^)/
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