なごり雪①@権現岳 2017.04.02(日)



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権現岳(ごんげんだけ)は、八ヶ岳の南端に位置した標高2715mの岩峰である。
ギボシと呼ばれる峰を従えた双耳峰であり、山頂付近には小さな祠が檜峰神社として祀られている。
檜峰神社(ひねみじんじゃ)の山宮は、他に釈迦ヶ岳の頂上にもあり、その麓の山中、大栃山の登山口にその本殿がある。
霊山としての権現岳の歴史は甲斐国史に詳しいので、興味のある方は読まれてみると良いだろう。






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前シーズンは結果積雪量の多い八ヶ岳ではあったが、日当たりの良い編笠山~権現岳は序盤では黒々としており、後半になってもさほど白い状態は続かなかった。
編笠山と三ツ頭の山頂での幕営を毎年楽しみにしていたが、最良の年を知っている身としては、触手の動くことの無いシーズンだった。

季節は移ろい桜の便りが届けられるようになった頃、何処かに登りに行こうとS君から誘いがあった。
中途半端な時期ということもあり行き先を決めかねていると、季節外れのまとまった降雪が八ヶ岳へもたらされるとの予報がたったのだ。



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自分の好きな景色を好きな相手と共有したいと思うのは、山だけに限ったことではないだろう。
私にとっては、権現岳からの景色が正にこれにあたるのだ。
二つ返事で決まるべきデートの誘いであった。

ところがである。

意中の相手は「雪崩は無いのか。」「晴れるのか。」「危険じゃないのか。」「ほんとぉぉに雪崩は無いのか。」としつこく聞いてくる。
しまいには、何故雪崩が起きにくいのか地形の説明までさせられた。
クソめんどくせぇとは思ったが、惚れた相手を釣り上げるまでは優しくするのが男の本質だ。
なんとか丸め込んで連れ出すことに成功。
馬力のあるラッセル車を手に入れた私はにんまりだった。



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5:10、天女山入り口の駐車スペースで一夜を過ごし、身支度を整え歩き始める。
毎年ダイアモンドダストの煌めく厳冬期に登っているので、こんな高い気温の中この場所にいるのは初めてのことだった。




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積雪期の権現岳を訪れる登山者はさほど多くはない。
例え快晴であっても、10人出逢えば大入りだ。



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理由は簡単。
積雪期の権現岳はそれなりにキツイのである。



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人が少ないので降雪直後となれば酷いラッセルとなる。
数年前、延々と続く膝~腰上ラッセルに力尽き、前三ツ頭にさえ到達できずに敗退したこともある。



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案の定トレースは無い。
我々が降雪後、最初の登山者であるようだ。



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05:30、美しい雑木林の中を緩やかに登り、「天女山」(1529m)までやってきた。



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目指す権現岳は予想通りの白い姿になっており、ちょうどモルゲンの真っ最中。



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南アルプスも良く見えているようだ。
30分早く出発しなかったことを強く後悔した瞬間でもあった。



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夏には車で訪れることのできる天女山駐車場を足早に通過。



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更に10分程登る。



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5:45、「天ノ河原」に到着。



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息子くんが幼い頃は頻繁に雪上キャンプとソリ遊びを楽しんだ思い出の場所だ。
流石に雪は少なかったが、一切踏み跡の無い雪が嬉しかった。



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南アルプスがクッキリと見えている。



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振り返って金峰山。
しかしちょいと性癖の偏った我々が褒め称えたのは小川山だった。



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富士山は朝の光の中透けるように浮かんで見えた。




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画伯の筆も美しい弧を描く。



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しばらくの間、朝の光を興奮気味に楽しんだ。



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さ、アホなことしてないで行きますか。



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06:05、再び歩き始める。



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季節外れの雪がもたらしてくれたプレゼントはただただ美しかった。
恐らく今日には溶けてしまうのであろう儚い芸術を何枚も撮った。



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雪は徐々に増え始め、軽いラッセルが始まった。



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ラッセル車を先行させ、私は楽をして登るのが常ではあったが、この日はどういうわけか良く協力しあった。



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先頭を代わりながら標高をあげて行く。
積雪の多い年だとこの辺りでも腰上となる。

昨日までほとんど雪は無かったのだろう。
足を下ろすと地面の固さがそのまま伝わってくる。



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4月の八ヶ岳とは思えない、完全な雪山からの眺めだった。



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歓び一杯にトレースをつける。



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ワカンを試したかったS君は早い段階で装着。
私はつぼ足で進む。



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いよいよ本格的な登りとなる。



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深くえぐられた夏道を進む。



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アイゼンをつける目安にしている指導標の前で装備を整えた。




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ここから三ツ頭までは一気に斜度が強くなる。
登り一辺倒のキツい登りが始まった。



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やはり気温が高い。
あちらこちらで木々の雪が落ちるようになってきた。
下山時には森の様子は一変してしまうのだろう。



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ぐはぐは。



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ぐはぐはぐは。



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気温が高いこともあり、早くもガスが湧いてきた。
意中の彼に、あの絶景を見せてあげることはできるのだろうか。




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き溜まりを踏み抜くと腰まで落ちるが、概ね膝下程度の軽雪ラッセルが続く。



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頑張れ私のラッセル車。



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樹林の途切れる通過点がいくつかある。
未だ南アルプスは良く見えており、少しでも早く尾根に立ちたいと気が逸る。



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前三ツ頭が近づいた。



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お、赤岳だ。



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甲府盆地は霞の中にあった。



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さあ今度はおっちゃんの番だね。
ぐはぐは。



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いよいよ尾根に乗る。
再度先頭を交代。



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彼の反応が楽しみだ。



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うわ~完璧な八ヶ岳ブルーだね!
どうよ、この景色!

ん?
テンション低くね?



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08:45、「前三ツ頭」(2364m)到着。



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中ア、御嶽山。



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ん?
もしかして…バテてるの?



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ほら、南アルプスも完璧だよ。



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さあ次行くぞ!



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三ツ頭までも急登だ。



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我々だけのトレースが延びて行くことがこの上なく気持ち良い。
広尾根の開放感がたまらない前三ツ頭~三ツ頭は、私のお気に入りの通過点である。



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頑張れ頑張れラッセル車!



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そこで展望が開けるよ!



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眼前に網笠山。



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振り返って、南アルプス。
うん、間に合った!



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あのコブを越えれば三ツ頭だよ。
さあどうだ!?



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気力を振り絞り足を出す。
果たしてそこには、S君に見せたいと願った、厳冬期にもひけをとらない権現岳の姿があった。


第二部の記事へはこちらからどうぞ。




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by yama-nobori | 2017-11-16 20:54 | 登山 2017 | Comments(0)
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