古の谷川岳を目指して③阿能川岳~小出俣山 2017.03.18(土)~20(月)



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小出俣山を後にする第三部のスタートです。

第二部の記事へはこちらからどうぞ。






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強風に煽られ吊るしていたライトが激しく揺れている。
04:00、こんな風の中で良くも寝ていられたものだと呆れながら目が覚めた。

明るくなるのを待ち、この日の行程を話し合う。



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視界の無い状態で雪庇の張り出した俎嵓山稜へ踏み込むのは危険であり、20m/s程のブリザードの中、国境稜線を進むのは少々厳しい。
停滞し天候回復を待つのも手ではあったが、終日風の収まることは無いだろうという結論にまとまった。

残念ながら撤退を決めた。
下山に使用するルートは、前日に眺めたオゼノ尾根である。



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やがて風は更に強まり、横殴りのぼた雪が幕営地を襲うようになる。



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気温も下がりパッキングを終えたザックはあっという間に凍りついた。



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08:10、下山開始。



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まずは、昨日踏んだ小出俣山の山頂を目指す。



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踏み抜くT氏と私。



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視界の無いまま山頂付近に立った。



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そこでT氏がA氏に問う。

「下山に使うルートはわかりますか?僕は昨日正解を見ましたよ。」

流石はT氏、脳天気な私とは違い昨日の内にこうなることを予想していたようだ。



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まずはT氏を先頭に下降を開始する。



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途中A氏はルーファイの課題を与えられたようだ。
師匠T氏が地形図を掲げにやりとほくそ笑む。



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しばらくA氏を放置。

T氏:「これ合ってると思います?」
私:「いや、このまま行くと沢筋の崖に当たるよね。」



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声の届くぎりぎりの距離でA氏を呼び戻し読図勉強会を開催。

T氏:「その地図(山と高原地図)じゃ駄目っす...。」

師弟のやりとりがとても可笑しかった。



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コンパスを当て方向を変える。



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程なくしてマーカーを発見。



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その後は明瞭な尾根を南へと下る。



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一箇所やや嫌らしい岩尾根のトラバースを通過した。



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トラバースを終えると、小出俣山を日帰りするのだという年配の二人組が登ってきた。

山頂は酷いブリザードになっているよと警告すると、「冬の谷川はこんなもんだよ。」と飄々とした答えが返ってきた。
これにはすっかり肩の力が抜けてしまった。



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小休止を終え、再び下山に向けて歩きだす。
トレースはあっと言う間に消されていた。



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すると今度は、これまた年配の5人パーティーが登ってきた。
テン泊なのであろう、大きな荷物を背負っているが実にしっかりとした足取りだ。
やはりこちらの方々も山頂の荒天など全く気にしていない様子である。



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地元の登山者に愛されている山なのだ。
古の谷川岳である俎嵓に立つことは出来なかったが、阿能川岳~小出俣山を登ることができたことはこの冬の大きな収穫だった。



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標高が下がるにつれ視界が回復。
ふざける余裕が持てるようになった。



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10:30、千曲平の林道へ出た。

すると上方から山スキー装備の3人パーティーが下りてきた。
聞けば昨日は谷川岳から俎嵓を通り、我々が幕営した少し北側の鞍部に到達。
ツェルトをかぶり、ブリザードの長い夜を過ごしたのだそうだ。

全く以て、普通の登山者のいない山域である。



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林道からは昨日登った阿能川岳へ続く尾根が見えるようになっていた。



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長い林道を黙々と歩く。
日当たりの良い場所は路面が見えているが、雪で覆われている区間もあり非常に歩きにくい。



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下山後は仏岩駐車場に停めてある車を回収しなくてはならない。
タクシーを呼ぶため、私は一人先行する。



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11:50、川古温泉前の林道ゲートに到着すると、先程我々を追い抜いていった山スキーの三人組が荷を解いていた。
彼等は水上駅へ向かうためタクシーを呼んでいるそうである。

早速私もタクシー会社へ電話をかけると、車は出せないとあっさりと断られた。
しかしゴリ押ししてみると三人組の送迎が終わった後なら、その同じ車を回すことが可能らしく、運転手に直接交渉せよとのことだった。
おそらく二時間以上待たされることになるだろうが仕方ない。

12:15、T氏とA氏が到着した。
タクシーの件を話すと、それなら三人組に私が相乗りさせてもらえば良いでは無いかとナイスな案が出た。
これぞ正しく、三人寄れば文殊の知恵である。

彼等にお願いしてみると快く承諾して頂くことに成功し、その直後にタクシーがやってきた。



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下山を終えると現金なもので、未練たらたら諦めた俎嵓のことなどすっかり忘れ、温泉と酒で頭がいっぱいだった。

仏岩駐車場でタクシーを降り川古温泉で待つ二人をピックアップ、今度はA氏の車を回収するため土合駅へと移動する。
その道中、スマホ使いの名手であるA氏が素晴らしい宿を探し当てた。



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予約したのは、土合駅近くにある民宿「みちのく」さんだった。
みちのくさんのHPへはこちらからどうぞ。



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通された部屋に驚いた。
他の部屋は埋まっていたらしく、なんと23畳の大広間をお値段変わらず使わせて頂けることになったのである。



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しかしあまりに広すぎて落ち着かず、結局部屋の片隅で飲み始める。
その後は濡れたテントやシュラフなどを部屋中にぶら下げ完全に乾かした。



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せっかく広いのだからとテーブルをセンターに移動し本格的に飲み始める。



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すると私とA氏はあっという間にこの有様。
T氏は高校野球を楽しんでいたそうである。

お湯が湧いたと声がかかり、私は一番風呂を頂いた。



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実に豪華な夕食だった。
私は三杯飯を平らげ動けなくなりそのまま撃沈。



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朝食ももちろん三杯。
食事の美味しい安価な素晴らしい宿だった。



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このまま帰宅してしまうのは勿体無かったので散歩を楽しむことにした。
谷川岳ロープウェイに車を停め歩き出す。



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舗装路を進むとすぐに雪壁が現れた。



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フル装備で下りてくる登山者のいる中、我々はつぼ足で進む。



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やや強い斜面を登り終え林道に乗った。
その後目的地までは、約3km程の水平移動となる。



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夏には電気バスが走るのだという林道も、全て雪の下に埋まっている。



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30分程歩くと正面に谷川岳が現れた。
到着したのは「マチガ沢」、残念ながら山頂部はガスに隠されてしまっていたが迫力ある風景だ。



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振り返れば白毛門。
他には誰もいない、我々だけの静かなトレッキングは続く。



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更に林道を20分程進むと、突然岩峰が現れ歓声を上げて近づいた。
目的地、一ノ倉沢に到着したのである。



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800人以上の死者を出し、いくつもの小説の舞台となった一ノ倉沢は流石の迫力だった。
デブリの際まで近寄り同じような写真を何枚も撮る。



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この時A氏は、山について、つまり人生について漠然とした悩みを持っていた。
山に対するモチベーションも下がり気味であり、このトレッキングにも当初は乗り気ではなかったのだと告白された。



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しかしこの場所に立つと、来てよかった、誘ってもらって良かったと何度も口にするようになっていた。
何か吹っ切れるものがあったのだろう。



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何度も立ち去ろうとしたが、流れ続けるガスが我々の後ろ髪を引いた。
目を輝かせながら最後までレンズを向け続けているA氏の姿が印象的だった。



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随分と長い時間を過ごし、一ノ倉沢を後にした。



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マチガ沢まで戻ってくるとガスは抜けており、トマの耳から下降するスキーヤーの姿が良く見えた。
春を感じさせる、暖かな一日だった。



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移動の途中、谷川連峰の美しい白さに思わず車を寄せ、諏訪峡に架かる橋の上から展望を楽しんだ。



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腹ペコでやってきた永井食堂は残念ながらお休みだった。

しかしこの後、スマホ使いの名手A氏が探し当てたトンカツ屋がこれまた大当たり。
A氏とはここでお別れ、私とT氏は帰路についた。



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今回は残念ながら目的のルートを歩き通すことは出来なかった。
しかしながら、この山域の厳しさと素晴らしさを知ることのできた今回の山行には大満足だった。
来シーズンは再び挑戦し、今度こそ古の谷川岳に立ちたいと考えている。

再び同じメンバーで登ることができたらこれほど嬉しい事はない。
あれから月日は流れ、A氏は現在熱い情熱を山に注いでいるようだ。
次回はどんな夢をテントで語ってくれるのだろうか。

でも...「山と高原地図」は持って来ないでね。
T氏に怒られるよ?w


おしまい。


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by yama-nobori | 2017-11-06 20:08 | 登山 2017 | Comments(0)
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