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山梨百名山@三方分山 2016.05.19(木)



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三方分山(さんぽうぶんざん)は、精進湖の北に位置する標高1422mの山である。
御坂山塊主脈西端に立つこの変わった山の名は、八坂・精進・古関の三村が境にしたところに由来する。
国中と富士北麓、さらに駿河を結んだ歴史の道・中道往還は、山頂の東にある女坂峠(安難坂)を通る。
女坂峠は、甲州と駿河とを最短距離で結ぶ、かつての生活・経済・軍事の重要ルートであった。




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今回ご紹介させて頂くのは、精進湖県営駐車場を利用した最短ルートである。


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午後の光となり、午前中に訪れた田貫湖での富士よりハッキリとした輪郭となった。
三方分山からの展望が楽しみだ。


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13:40、「精進湖」(910m)を出発し旧中道往還へと入る。
「三方分山」(1422m)までのCTは105分である。


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道沿いには寺や神社、天然記念物の大杉などがあり、集落の雰囲気に趣がある。


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舗装路は徐々に登り坂となり、やがて登山道となる。
つづら折りの緩やかな道を進む。


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堰堤を回り込むように越える。
生活用水として利用されているのであろう、幾本もの取水パイプが設置されていた。


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かつては軍馬なども通ったというのだからとても広い道を想像していたがさほどでもない。
しかし斜度は一定に保たれ、とても歩きやすく足に優しい道である。

如何に疲れず、峠を越えるかに注力した先人の知恵をみることが出来る。


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14:13、標高1210mの女坂峠(阿難坂)に到着。
この女坂峠の名の由来については後述したいと思う。

御坂山塊主脈を西へと進む。


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尾根は一旦下り坂となる。


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その後程なくして登り返しが始まり、山頂までは一貫してそれが続く。


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富士を眺めることのできる場所が一箇所だけあったが、概ね木々に覆われ展望の無い登山道である。


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しばらく登ると平坦となり、足元に熊笹が目立ち始めブナが多くなる。
この山域に足繁く通うようになり、山頂が近づけば地図を見ること無く「その時」がわかるようになってきた。


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さあ、いよいよだ。


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14:40、「三方分山」(1422m)登頂。
CT105分に対し、所要時間は60分であった。


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山頂は広い。

地形図を確認すると、このピークを起点とし120度に尾根が分かれている。
なるほど綺麗な「三方分」である。


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展望を確認してみる。


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残念ながら富士方向以外への展望は無いが、精進湖上に浮かぶ富士の姿が素晴らしい。

山頂から精進峠へ進めば、富士山の寄生火山である「大室山」を中央に抱いた、有名な「子抱き富士」を見ることができる。
この写真でやや右に写っている丘のような部分が「大室山」だ。


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これで残す御坂山塊の山梨百名山は「蛾ヶ岳」(ひるがたけ)のみとなった。

山梨百名山を通じ、御坂山塊は秀峰揃いであることが良くわかった。

登山道は明るく変化が多く実に楽しい。
展望の良い山が多いにも関わらず登山者は少ない。
いずれじっくりと縦走を楽しんでみたい山域だ。

この「三方分山」も静かで歴史深い良い山である。


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女坂峠(安難坂)に戻ってきた。


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「昔、身重の高貴な女性がこの峠越えにさしかかった。しかし途中ですれ違った村人にまだ先が長いことを知らされ、力尽きてしまう。急に産気づいて、産んだ子供とともに息を引き取ってしまった。哀れに思った村人たちが母子を手厚く葬り、子供を抱いたお地蔵さんを建ててやった。このお地蔵さんを女石、坂の名を女坂と呼ぶようになった。」

これがこの女坂峠(安難坂)の由来である。
峠には廃仏毀釈の影響であろうか、頭を欠いた三体の石仏がある。


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また古関地区の先人、棋楽(土橋勘左衛門)氏が昭和初期に建立したとされる句碑にはこのような二句が刻まれている。

「生魚の二十里走るほととぎす」
「湖のこし霧かかる山杜鳥」

駿河でとれた魚は翌日には甲斐に届いたという。


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甲斐国(山梨県)と駿河国(静岡県)を結ぶ街道のひとつである中道往還(なかみちおうかん)は甲州側からの呼称であり、静岡方面からは甲駿街道や甲州街道の呼称が使われる。

山梨は私にとっての心の故郷だ。
私は古の人々が踏み固めてくれたこの路を、親しみを込め中道往還と呼びたいと思う。



おしまい。

今回も最後までお読みいただきまして大変ありがとうございました。


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by yama-nobori | 2016-06-12 11:49 | 登山 2016 | Comments(0)
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