三方分山(さんぽうぶんざん)は、精進湖の北に位置する標高1422mの山である。 御坂山塊主脈西端に立つこの変わった山の名は、八坂・精進・古関の三村が境にしたところに由来する。 国中と富士北麓、さらに駿河を結んだ歴史の道・中道往還は、山頂の東にある女坂峠(安難坂)を通る。 女坂峠は、甲州と駿河とを最短距離で結ぶ、かつての生活・経済・軍事の重要ルートであった。 今回ご紹介させて頂くのは、精進湖県営駐車場を利用した最短ルートである。 三方分山からの展望が楽しみだ。 「三方分山」(1422m)までのCTは105分である。 舗装路は徐々に登り坂となり、やがて登山道となる。 つづら折りの緩やかな道を進む。 生活用水として利用されているのであろう、幾本もの取水パイプが設置されていた。 かつては軍馬なども通ったというのだからとても広い道を想像していたがさほどでもない。 しかし斜度は一定に保たれ、とても歩きやすく足に優しい道である。 如何に疲れず、峠を越えるかに注力した先人の知恵をみることが出来る。 14:13、標高1210mの女坂峠(阿難坂)に到着。 この女坂峠の名の由来については後述したいと思う。 この山域に足繁く通うようになり、山頂が近づけば地図を見ること無く「その時」がわかるようになってきた。 「昔、身重の高貴な女性がこの峠越えにさしかかった。しかし途中ですれ違った村人にまだ先が長いことを知らされ、力尽きてしまう。急に産気づいて、産んだ子供とともに息を引き取ってしまった。哀れに思った村人たちが母子を手厚く葬り、子供を抱いたお地蔵さんを建ててやった。このお地蔵さんを女石、坂の名を女坂と呼ぶようになった。」 これがこの女坂峠(安難坂)の由来である。 峠には廃仏毀釈の影響であろうか、頭を欠いた三体の石仏がある。 「生魚の二十里走るほととぎす」 「湖のこし霧かかる山杜鳥」 駿河でとれた魚は翌日には甲斐に届いたという。 甲斐国(山梨県)と駿河国(静岡県)を結ぶ街道のひとつである中道往還(なかみちおうかん)は甲州側からの呼称であり、静岡方面からは甲駿街道や甲州街道の呼称が使われる。 山梨は私にとっての心の故郷だ。 私は古の人々が踏み固めてくれたこの路を、親しみを込め中道往還と呼びたいと思う。
by yama-nobori
| 2016-06-12 11:49
| 登山 2016
|
Comments(0)
|
最新の記事
検索
記事ランキング
カテゴリ
全体 登山 2017 登山 2016 登山 2015 八ヶ岳 写真 ギア 日常 キャンプ 南アルプス 北アルプス 中央アルプス 丹沢山系 登山 2014 登山 2018 登山 2019 信州百名山 登山 2020 未分類 タグ
以前の記事
2020年 07月 2020年 06月 2020年 02月 2019年 08月 2019年 07月 2019年 06月 2019年 04月 2019年 03月 2019年 02月 2019年 01月 2018年 12月 2018年 11月 2018年 10月 2018年 09月 2018年 08月 2018年 07月 2018年 06月 2018年 05月 2018年 04月 2018年 03月 2018年 02月 2018年 01月 2017年 12月 2017年 11月 2017年 10月 2017年 09月 2017年 08月 2017年 07月 2017年 06月 2017年 05月 2017年 04月 2017年 03月 2017年 02月 2017年 01月 2016年 12月 2016年 11月 2016年 10月 2016年 09月 2016年 08月 2016年 07月 2016年 06月 2016年 05月 2016年 04月 2016年 03月 2016年 02月 2016年 01月 2015年 12月 2015年 11月 2015年 10月 2015年 09月 2015年 08月 2015年 07月 2015年 06月 2015年 05月 2015年 04月 2015年 03月 2015年 02月 2015年 01月 2014年 12月 2014年 11月 2014年 10月 2014年 09月 2014年 08月 2014年 07月 2014年 06月 2014年 05月 最新のトラックバック
ブログパーツ
ブログジャンル
|
ファン申請 |
||