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山梨百名山@大栃山 2016.05.12(木)


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大栃山(おおとちやま)は、「山と高原地図」にコースの記載がない、標高1415mの山である。
別名「黒駒富士」とも呼ばれており、笛吹市の桃源郷から眺めた姿は、成る程富士の様に見える。

いつも中央自動車道から眺めていたのでその存在は知っていたが、登るのは今回が初めてであった。




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大栃山は御坂山塊に属しており、同じく山梨百名山である釈迦ヶ岳が近い。
檜峯(ひみね)神社からこの二座を登ることも可能であり、共に登ればかなりしっかりとした登山を楽しむことが出来る。


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檜峯神社へは、R137から神座山林道を進む。
電車の方はJR中央線石和温泉駅からバスで十郎橋下車となる。
少し前に登頂を終えたばかりの達沢山への登山口である「立沢」BSも近い。

写っているのが大栃山であるが、この角度からでは残念ながら富士には見えない。


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道標は豊富にあるので迷うことはないであろう。
しかし神座山林道は4.5km程の車道歩きとなるので、徒歩の場合は覚悟が必要だ。


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途中獣避けのゲートがあるので解錠して通過する。


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辺りはすべて神社の杜である。
先に進むにつれ、神聖な雰囲気が徐々に色濃くなり、10分程で行き止まりとなった。


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鬱蒼とした木立に囲まれて、檜峯(ひみね)神社はひっそりと佇んでいた。
バイクのエンジンを止めると、遠くから聞こえてくる鹿の声とフクロウの様な鳴声に混ざり、こぽこぽという音が聞こえてくる。


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確認してみると水が湧きだしており、飲んでみたら抜群に美味い。


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駐車場にはトイレもあるので登山口には最適な環境だ。


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ただ、釈迦ヶ岳への登山口は駐車場近くにあり判りやすいが、大栃山のものは見当たらない。
少し右往左往してしまったので、詳しく後述する。


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水場はもう一つある。
「薬王水」と呼ばれるこの水は、丸太をくり抜いた桶に注ぎ込まれており苔むした雰囲気が実に良かった。
ここで水筒の中身を全て入れ替えた。


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薬王水の橋を渡り神社に近づくと、石垣に取り付けられた道標を見つけることができた。


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檜峯神社は下山後に立ち寄ってみたいと思う。
鳥居の前を通過し大栃山へと向かう。


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こちらが大栃山の登山口である。
この先にある「トビス峠」から分岐する「釈迦ヶ岳」への道標とは違い、大栃山のものは少々地味な印象だ。

14:07、「檜峯神社」(1093m)から登り始めた。


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全く手の入っていない杜が実に素晴らしい雰囲気だ。


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緩やかな道を動物達の声を聞きながら進んで行く。


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14:17、「鳶巣峠」(1213m)到着。
成る程、「トビス」とはこういう字を書くのか。


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「鳶巣峠」からは、最初のみやや強めの登りとなるが、その後はほぼ平坦な尾根歩きとなる。


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正直、あまり期待せずに登り始めた大栃山ではあったが、登頂前からの美しい登山道にすっかり魅了されてしまった。


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登山前の下調べは登山口の確認と、地図上から読み取ることのできる情報以外には極力得ないようにしている。
後悔することのほうが遥かに多いが、時にはこのような素敵な出会いもあり感動が大きくなる。
私の中では写真を多用したこんなブログを読むことはご法度であるのだから、自分はつくづく矛盾していると思う

兎にも角にも実に気持ちの良い尾根道である。


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やがて前方が明るくなり、山頂標が目に入る。

標高とは無関係の、とても嬉しい瞬間の訪れだ。
毎回、やはり登山は単純で良いなと思う。


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14:45、「大栃山」(1415m)登頂。
「檜峯神社」からは38分での到着となった。


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早速山頂からの展望を確認してみる。


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眼下に広がっているのは笛吹市から甲府市にかけての街並みだ。
夜には素晴らしい夜景が見られることであろう。

甲武信岳~金峰山、八ヶ岳も良く見ることが出来る。


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やや視線を左にずらせば、甲斐駒ヶ岳から始まる南アルプスが実に良い。
冬枯れの頃であれば更に広い展望を得ることが出来ることだろう。


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振り返ってみた富士の姿も秀逸だ。

真っ直ぐに伸びた御坂山塊を眺めているとそれぞれの頂での思い出が蘇る。
右で尖っているのが節刀ヶ岳、左の丸い山容は黒岳だ。


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山頂はまずまずの広さがある。
秋以降には息子さんを連れ、テン泊装備にて再訪することを心に決めた。


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大栃山に登るきっかけをくれた山梨百名山に感謝である。
春日山の記事ではこき下ろしてごめんなさい
(春日山の記事へはこちらをクリック)


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実に素晴らしい一座との出会いであった。
しばらく展望を楽しみ、清々しい気持ちのまま下山を開始した。


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15:22、「檜峯神社」まで下りてきた。

往路でも大変に静かな境内であったが、ある一定のリズムで聞こえてくる鳥達の鳴声が大きくなっており、不思議な事にその声が大きくなればなるほど静けさが増してい行く様に感じた。
そして深い静寂に包まれ、刻を忘れそうになる。

私はつくづく日本人なのだと思う。


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吸い込まれるようにしてお参りに向かう。


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檜峯神社の歴史は深く、解説パネルが設置されている。
また、天然記念物の大杉などもあり、この神社の見所は多い。

しかしこの神社を語る上で最も有名なのは「コノハズク」の話であろう。

古来、「ブッポウソウ」と聞こえる鳥の鳴声は、「仏法僧」という美しい鳥のものだとされていた。
しかし昭和10年6月この檜峰神社の境内に於いて、鳥類学者の中村幸雄氏により、声の主が「コノハズク」であることが初めて実証されたのだ。
YouTubeにアップされていたのでリンクを貼らせていただく。
(「ブッポウソウ」と鳴くコノハズクの声を是非お聞き下さい)


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私が到着以来聞き続けていた声の主がこのコノハズクであったことを知りとても嬉しくなった。
夏の夕暮れに多く聞こえるそうであるが、この日は記録的な夏日であったのでそのせいであろうか。
だとしたら、一日中苦しめられた季節外れの猛暑にも感謝したい。


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それから少し不思議な体験をした。

私はこの祠を夢の中で何度も見てきた。
特別何かをしている夢では無いが、この鮮明な記憶には思わず「あっ」となった。
こういうのをデジャブと呼ぶのであろうか。

そういえば、八ヶ岳の権現岳の山頂直下には小さなほこらがあり、「檜峰」が祀られている。
檜峯神社には不思議な縁を感じるので、関連性を調べてみたいと考えている。


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薬王水をお土産にすることにした。
それにしても、親父が山に出かけた後のお土産がいつも「水」だということを息子さんはどう思っているのだろうか


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下山後は懐かしい甲府盆地に向かってバイクを走らせる。

私はやはり山梨が好きだ。
中でも、山々に抱かれた甲府盆地は特に素晴らしい。

土地を離れて久しいが、今でも「ただいま」という気持ちになる第二の故郷である。
もうしばらく、心の故郷の山歩きを続けてみたいと思う。



おしまい。

今回も最後までお読みいただきまして大変ありがとうございました。



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by yama-nobori | 2016-05-26 11:42 | 登山 2016 | Comments(2)
Commented by haizi at 2016-05-26 19:50 x
yutayutaさん!コノハズク!!私がずっと聴きたかった声です!!
以前信州に住んでいた若い頃、この声に出会いたくて3日も森にこもったことがあるのですが、結局聴く事は出来ませんでした。。。今まで山歩きをしてても、まだ一度も聴いた事がありません。
だからブログ見て、さらに動画見てもう感動しちゃって。。思わずウルウルしてしまいましたょ~(´艸`*)
こんな身近に、しかもこんな昼間から聴ける場所があったのですね!私も機会見つけてこの声に会いに行きたいです。 夏の間 ずっと聴くことが出来るのですか?!
檜峯神社の雰囲気とコノハズクの声がきっと幻想的でしょうね~♡

デジャブ体験は、yutayutaさんの生い立ちか前世?となにか関係あるかもしれませんね(^.^)
Commented by yama-nobori at 2016-05-27 02:02
haiziさん、こんばんは!

うわぁ~、なんだか私達には不思議な御縁がありますよね。
このようなマイナー山の記事を喜んで頂けて本当に嬉しいです。
書いて良かったな~(^^)

檜峯神社はとっても素敵なところでした。
あの杜は誰しもが神聖な気持ちになると思います。
夏の夕暮れ時は特に素敵なんだろうなぁ。
ヒグラシの声も似合いそう。

コノハズクにとっても強い思い入れがおありなんですね!
夏の間ずっと....どうなんだろう。
なんだか私なんかが聞けてしまって申し訳ない。
コノハズクにいつか出会えることを祈っています!
神社の比較的近くに住んでいる友人がいるので確認してみますね。

大栃山で待ち合せでもしてテン泊宴会でもやりましょうか?(^^)
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