更にその雨は翌朝まで残ってしまうというやや残念な予報が発表されておりました。 よって、本日は「みくりが池温泉」にて停滞です。 外に出てみると予想通りの曇天。 気温は高く、驚きの+1℃。 うん、これは間違いなく雪じゃなくて雨が降るな... 残った食材を調理し、少しづつ撤収作業を行います。 これから向かう「みくりが池温泉」のチェックイン時刻は14:00。 でも早く着いたら温泉に入って待っていればいいよね。 K嬢はペグの掘り起こしを お酒と食材が無くなったとはいえ、ザックの重量は30kg程度。 足場の悪いこの急斜面を登るのは、何度訪れても苦行です....。 往路と同じく地獄谷のガスにむせこみながら、みくりが池温泉へと向けた最後の登りに突入します。 でも昨年とても良い思いをした、とある場所が気になり今年も立ち寄ってみることにしました。 登山道の脇にザックを放り出し、その方向へ向かってみると... いたいたいた~!! 可愛らしいメスの雷鳥を発見です。 去年と同じ場所には2つのツガイが生息しておりました。 やっぱりメスのほうが目がつぶらで可愛らしいよね。 撮影に必死のK嬢です。 このために持ち込んだ5kg近い機材がようやく報われました。 風が強まってくると、雪に穴を掘って身を沈めます。 この姿も実に愛らしい。 仲良しだね。 予想よりもやや早く崩れ始めたようです。 いつまでも雷鳥を眺めていたかったのですが、雨になったら面倒なので立ち去ることにしました。 また来年も同じ場所で会えるといいな。 みくりが池温泉に向け再び歩き始めます。 すると、何やら雪に埋まっているモノのあることに気が付きました。 んんんっ?? こっ、これは可愛い.... でも外野がうるさくて居心地が悪くなったのか、すぐにスタスタと歩いて出ていってしまいました。 邪魔してごめんね。 さて、我々も移動しようか。 のんびりと過ごそう。 しかも待っている間に、温泉に入ることも出来るのだそうです。 早く到着して良かったなぁ。 かんぱ~い! さっそく部屋へと荷物を移動し、いよいよお楽しみの場所へと向かいます。 そう、向かったのは温泉です。 「みくりが池温泉」は標高2,430mに位置する日本最高所の温泉宿です。 ここでは100%源泉掛け流しの素晴らしいお湯を楽しむことができるのです。 ちなみに日本最高所の野天風呂は、標高2,150mにある「本沢温泉」です。 もうキリがありません。 このソフトクリームはかなり濃厚で美味しかったですよ。 多少お値段が上がってしまいますが、2名以上なら個室が利用可能です。 部屋にはコンセントや山岳図書などが用意され、Wi-Fiも繋がります。 館内は半袖で過ごせるほどに暖かく、消灯時間はありません。 ただし、タオル・歯ブラシ・浴衣などのアメニティーは全て有料となります。 みくりが池温泉の最大収容人数は130名。 これに対し、この日の宿泊者は80名と実に快適でした。 9割はカメラマンと観光客、残りがスキーヤーと軽荷の登山者だったようです。 そんな訳で、私の担いでいた大きなザックは奇異の視線に晒され続けておりました.... 間仕切りにカーテンを下ろすことができるので、山小屋としては実に快適です。 しかし温泉旅館のつもりで訪れると、ちょっと残念に思うかもしれませんね。 皆さんいろいろな目的で宿泊されていますから、消灯や行動時間にも気を使うことになるでしょう。 スタッフさんはとても明るく、立ち寄り湯目的で訪れても気持ちの良い対応で迎え入れてくれます。 乾燥室、喫茶室、お土産、mont-bellブースなどもあり、煙草まで購入することが可能です。 ゴミを捨てることが可能なのは有り難いですね。 洗面・トイレなども下界のものと全く変わらず清潔です。 室堂ターミナルから15分の「みくりが池温泉」は、下界の温泉宿感覚で訪れることが可能な、雲上の一軒宿であると言えそうです。 山屋目線でみるなら明らかなオーバースペックですが、窓の外は叩きつけるような暴風雨となりました。 カメラマンさん達は残念そうにしていましたが、我々にとっては休足日に相応しいこの日の天候でした。 我々は早い時間にお願いしました。 夕食までに3回も温泉に入ってしまったのでお腹はペコペコです。 扉の先頭に並び、配膳の終わるその時を待ちました。 席を案内する際、椅子を引いてくれたのには驚かされました。 う~ん、ここはやっぱり温泉旅館なんですね。 「みくりが池温泉」は最高です。 激しい水の流れが雪をどんどん溶かして行きます。 入り口に作ったかまくらが小さくなってしまったとスタッフが残念そうに嘆いていました。 しかしこの雨は翌朝までには止む予報です。 明日はできるだけ早い時間に、予約してある「室堂山荘」へと移動を済ませ、軽荷で浄土山と龍王岳へ登る予定です。 さて、明日に備えて今日も早く寝ようか。 あ、でもその前にもう一回温泉に入ろうっと。 朝食は6:00からのバイキングスタイルです。 ご飯を三杯食べ、降り止むことのない雨を見つめながら喫茶室で珈琲を飲み時間を潰していました。 やがてリミットである8:30になりましたが、相変わらず霧雨が降り続いています。 残念でしたが下山することを決めました。 室堂山荘へキャンセルの電話を入れ、予備日を使って一度訪れてみたかった宇奈月温泉で一泊することに決めました。 登山に必要だった装備をザックへと押し込み、雨が止み次第下山を開始する準備を整えました。 そして宇奈月温泉の宿探しを開始。 精算を行い喫茶室で出発のタイミングを見計らいます。 9:35、外は相変わらずの霧雨。 やがてレストランの清掃が始まると、居場所を無くした多くのカメラマンが喫茶室にやってきて時間を持て余し始めました。 この頃になると気持ちは完全に登山からは離れ、宇奈月温泉観光のことで頭が一杯になっていました。 そして9:43、それはあまりに突然でした。 それまでの雨はピタリと止み、その刹那、立山全体が紺碧の空の下に放り出されました。 まるで奇跡を見ているかのようなその光景に、そこにいた全員が呆気に取られます。 やがて各々の目的を思い出し、慌てふためきながら荷物をまとめ、全員揃って表へと飛び出しました。 雨に打たれ続けていた木製のテーブルは、湯気を立てながらみるみる内に乾いて行きます。 すっかり下山する気満々であった私達は半ばパニック状態です。 何をすべきかがよくわかりません。 しかし登山を続行するためには、急いで室堂山荘へ向かう必要があるということだけはわかっていました。 この後は少々時間が押してくるけれど、今日登らずに下山してしまったらきっと後悔する。 慌てて登山装備を身につけ始めます。 すると声がかかります。 んっ? おおおっ!! 我々がここにいることを知り、天候の悪い中わざわざ遠回りをして尋ねて来てくださったのです。 しかし残念ながらこちらはパニック状態です。 今思えばきちんと挨拶をしていたのかも記憶にありません。 覚えているのはこの写真を撮影したことくらい.... ほんと、バタバタしていて申し訳ありませんでした。 9:56、「みくりが池温泉」を後にします。 この登頂の為にやるべきことは、室堂山荘に予約を入れなおす・水を汲む・アタックザックへ必要なものを入れる・貴重品は抜き不要な荷物を預かってもらう...。 そういえば下山用に詰めなおしたからザックの中はぐちゃぐちゃだ....。 行程は5~6hかかるはずだ。 仮に11時のスタートだと夕食時間までに戻ることが出来るのか心配だな....。 などと考えていると、ものすごくやっかいな障害物が現れました。 これは素通りするわけには行きません。 さっそく撮影を始めます。 Tさんのお連れさんは超ローアングルで攻めています。 一度座ると立ち上がることが困難な重さのザックですが、膝までついて必死に撮影を続けている間抜けな後ろ姿が笑えます。 ※Tさん写真をありがとう! K嬢はこの雷鳥の誘惑に囚われることなく、室堂山荘に向けて先行を続けていました。 偉い! 私は山荘の予約を取り直しながらK嬢を追いました。 私はいろいろと用意するものが多かったのです。 10:55、全ての準備が整いました。 宇奈月温泉は幻に終わってしまったけれど、この幸運を目一杯楽しむ事に決めました。 霹靂とは真逆の出来事だけど、これぞまさに青天の霹靂。 山の神様から頂いた大チャンス。 大展望の待つ「浄土山」、そして未踏の「龍王岳」へ! 第五部へと続きます。
by yama-nobori
| 2016-04-28 21:31
| 登山 2016
|
Comments(3)
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らは
at 2016-04-29 20:26
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雷鳥さんは、砂遊びもするんです。天気が悪いとき、ぐぇぐぇで現れます。飛びます(笑)。ただ、白いのには会ったことないので貴重な写真ですね。ありがとうございました。
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らは
at 2016-04-29 20:26
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雷鳥さんは、砂遊びもするんです。天気が悪いとき、ぐぇぐぇで現れます。飛びます(笑)。ただ、白いのには会ったことないので貴重な写真ですね。ありがとうございました。
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らは
at 2016-04-29 20:26
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雷鳥さんは、砂遊びもするんです。天気が悪いとき、ぐぇぐぇで現れます。飛びます(笑)。ただ、白いのには会ったことないので貴重な写真ですね。ありがとうございました。
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