丹沢三峰(たんざわみつみね)とは神奈川県相模原市緑区と愛甲郡清川村の境にある東峰(本間ノ頭)、中峰(円山木ノ頭)、西峰(太礼ノ頭)の総称を指す。 この扉で使用している写真には、三つのピークが顕著に並んで収まっている。 ほぼ同じアングルで撮影された写真がwikiに載せられており、これが丹沢三峰であるとの説明がなされている。 私もこの光景を「丹沢三峰」と呼ぶのは至極当然のことだと思う。 しかしながら、現在の地図においてこの三ピークを丹沢三峰と呼ぶことは誤りであるのだ。 実は右ピークは東峰(本間ノ頭)、中央ピークは「無名ノ頭」、左ピークは中峰(円山木ノ頭)であり、西峰は写真に写ってはいない。 但し昭和45年頃までの地図では、現在の「無名ノ頭」は「円山木ノ頭」であり、「円山木ノ頭」は「太礼ノ頭」である為、この扉写真は正真正銘「丹沢三峰」と呼ぶこともできるのである。 何故このようなことが起きたのか。 簡単に言ってしまえば、誤認の積み重ねであったようだ。 地形図から登山地図を作成するにあたり、情報量を増やす毎に少しずつ誤った情報が付加され、山名の取り違いが起きた。 そして、その誤った登山地図に倣い道標が立てられ、それが既成事実となる。 古くには別名が付けられていたようでもあるが、「無名ノ頭」としたのは苦肉の策だったのではないだろうか。 このような地図上の誤記や、誤った道標の設置などからピーク名の変わってしまうことは、この丹沢三峰に限らず良くあることではある。 しかし、ここまで名称と山容との間にギャップのある山域は珍しいのではないだろうか。 現在の地図通りにわざわざ離れている「太礼ノ頭」(西峰)を一座と数えるならば、無名ノ頭へ相応しい名前を与え「瀬戸沢ノ頭」を加えた「丹沢五峰」と呼ぶべきだと思うが如何なものか。 もちろん、本来の名称へ訂正することが一番良いことだとは思うのではあるが。 さてさて前置きが長くなりました。 本編に入ります。 「咳」はどうにか対応できるレベルにまで回復したが「くしゃみ」は辛い。 花粉とお笑い番組が憎くてたまらない毎日を過ごしている。 しかし、頭と足は必要以上に元気なので山には登りたい。 これ以上ストレスを溜め込むと「頭」までおかしくなってしまう・・・・。 そんなわけで日帰り装備ならなんとかなるかなと思い物色を始めていたところ、友人からどこかに連れて行って欲しいと声をかけられる。 いくつか案が浮かんだが、結局この日最も天候の安定している山域である「丹沢山塊」に向かう事となった。 さあ、リハビリ山行の始まりだ! 前回は硫黄岳での雪山デビューをお手伝いさせていただいた。 彼らは車を持たないため公共機関だけで山登りを楽しんでいる。 よってアクセスの良い丹沢山塊に入ることが多いそうであるが、今回の丹沢三峰ルートは初めてであるとのこと。 彼らとの出会いもやはり丹沢山塊であった。 本日の行程は、周回約17km・累積標高差1400mである。 I女房は秋に激混雑の塔ノ岳に登り、それ以来この山域を避けていたとのこと。 本当は車が無いとなかなか行くことの難しい山に連れて行ってあげたかったけれど、天気には勝てないもんね。 今回は楽しめると良いのだけれど・・・。 最近の地図には「渡渉点不明瞭」との記載があるが、立派な道標が立てられており道迷いの心配は無い。 メジャールートとは違い、人の気配が全くない。 丹沢山塊にいることを忘れてしまうかのような、大変美しくふかふかした足に優しいトレイルが続く。 息子さんも逢いたがっていたのだが、この日は学校があって連れてくることが出来なかった。 トレースは無い。 8:34、平坦地が現れるとついつい記録を残してしまう。 丹沢は幕営禁止なんですよね・・・。 途中痩せ尾根などもあり、地形の変化が実に楽しい。 しかし、今回は怪我の上塗りになるので絶対に転倒するわけにはいかない。 必要以上に慎重に進む。 ツボ足で問題なかったが、チェーンアイゼンがあると良いと思われた。 宮ヶ瀬の向こうには、春霞でぼんやりとした都内方面を見ることが出来た。 高尾山も写っているが、同定できるであろうか? 日本で一番登山者の多い山ではあるが、その山容を思い浮かべることのできる方は少ないのではないだろうか。 標高差も大きく登山道に変化があり、とても良いトレーニングになるルートだと思います。 ふわふわの雪がとても美しい。 誰にも出逢うことのない我々だけの静かなトレイルが続きます。 雪に「あげぱん」と書くI旦那。 彼らは公共機関の縛りがあるため、未だあの丹沢名物を口にしたことがないのです。 下山後が楽しみだね。 なかなかのハイペースでぐいぐいと登って行きます。 およそ3時間で標高差900mを稼ぎました。 さあ、次行ってみよう。 これから踏んで行く丹沢山へと続く稜線が青空に美しかった。 50m程下ると細い鞍部に到着する。この場所こそが、登山地図編纂により不幸な運命を背負わされたピークである。 丹沢山へと続く尾根が清々しく引かれている。 心配していた肋骨の痛みは、左側のショルダーベルトを極端に緩めていればなんとかなることがわかった。 但し、鎖などはまだ握ることは出来そうにない。 さて、どの山なら登ることができるだろうか。 歩き始めてここまで休憩を取っていない。 I夫婦はなかなかの健脚である。 装備費用が倍かかることを除けば、同じ趣味を持つ二人がとても羨ましい。 これだけ歩けるならば、夏にはアルプスなどへも行けると思うし、重量の耐性をつければテン泊も可能であろう。 この先の計画を語り合いながらの楽しい山歩きが続く。 丹沢らしい鹿よけネットが現れ始めた。 ここまで来れば、丹沢山はもう目の前だ。 思いの外、登山者は少ないようだ。 富士山は春霞によりぼんやりと浮かんでいた。 ここまでに出会った登山者は、同方向に1名、下山者が4名程であった。 天気も良かったので、お隣りの塔ノ岳辺りでは恐ろしい数の人出だったのではないだろうか。 I女房、このルートで良かったねw 山で 13:00、I女房の「てぬぐい」(800円)購入を待って下山を開始する。 まずは前回息子さんをビビらせまくった木道を降りる。 ここからは、ほんの少し前の出来事なのに、とても懐かしい素敵な思い出達が蘇ってきて仕方がなかった。 息子さんが休憩した倒木や岩の一つ一つが愛おしく感じた。 今回も連れて来てあげたかったな。 その先はもう海だ。 いや、二峰か(^^;) まずまずの斜度が続く。 右の三ピークのずっと左側にある、平坦にも見える部分が西峰(太礼ノ頭)である。 やはり違和感を感じずにはいられない光景だ。 14:38、あっという間に林道まで降りてくることが出来た。 I旦那は無邪気で若い(^^) 山頂からは2時間でのスピード下山となった。 おつかれさま! そして、I夫婦長年の憧れであったオギノパンへとやってきた。 サクッと一つ目のあげぱんを平らげ、二つ目に突入。 大満足だったようで、私も実に嬉しかった。 さて、丹沢には一般的な地図には載っていない廃道や名前の消されてしまった尾根道が多数存在し、それぞれに伝説を残している実に魅力的な山域だと思う。 あまりに雪の少ない今年の高峰は、すっかり魅力を感じなくなってしまった。 怪我後はじめてとなる登山が故郷の丹沢山となったのも必然であったようにも思える。 いくつか注意が必要ではあるが、軽量化さえ行えばどうにか歩くことが出来そうだ。 ヒルの出始める季節になるまでは、丹沢散策を楽しむのも悪く無いなと改めて思った今回の山行であった。
by yama-nobori
| 2016-02-29 14:37
| 登山 2016
|
Comments(5)
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sen230727
at 2016-03-03 21:24
肋骨の怪我回復している様子で少々安心しています。あまり無理せず山に向かって下さい。
今回は丹沢山系、気に成る山ですが今年のスケジュールからして【ヒル】に立ち向かわなければならない時期に なりそうです。2月一杯昨年の山旅の記録をようやくパソコンに移行できました。走り書きのメモ見ても【?】 の部分が数か所ありました。貴殿のように、迅速・正確にせねばと反省しています。3月に入り積雪の心配が少なくなり、4月中旬の活動スタートに向けて準備に入りました。山と高原地図も宮之浦岳まで全部入手しました。南アルプスの5座は過去の記載記事を参考にさせて頂きます。
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yama-nobori at 2016-03-04 21:17
sen230727さん、こんばんは!
いよいよ活動再開なんですね!! 私までわくわくしてきました。 4月中旬の丹沢は確かにヒルの発生時期となりますね。 しかし整備されたメジャーな登山道を歩く限り過剰な心配は必要ありません。 ヤビツ峠側などに多いヒルの好む湿った落ち葉などが堆積しているような環境に踏み込まなければ被害にあうことは稀だと思われます。 丹沢は「丹沢山」を踏めば一座とカウントされるのでしょうか? それとも最高峰である「蛭ヶ岳」でしょうか? あれからの山行詳細、これからのご予定などに興味津々です。 4月はまだ比較的時間に余裕があります。 丹沢でしたらアクセスも良いので前日にお声がけ頂ければご一緒できるかとも考えております。 「非公開コメント」へメールアドレスなど書いて投稿していただければ、プライバシーを確保したまま連絡を取り合うことが可能となります。 ご検討頂ければ幸いです。 私のようなヘマをせず、安全第一で良い登山を続けられてください。 暖かいお言葉ありがとうございました。
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at 2021-10-29 17:41
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ブログの持ち主だけに見える非公開コメントです。
丹沢山
正代賢司
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