私は蝙蝠岳まで進みそこでテン泊、他メンバーは塩見岳まで軽荷で登りその日の内に下山の予定。 5:00、急がない私は皆を見送りのんびりと気温-2.4℃の三伏峠小屋を出発。 約10分後、「三伏山」(2615m)に到着。 うん、快晴だ。 風もない。 私はあの塩見岳を越え、その更に向こうにある蝙蝠岳でテン泊する為に30kg程の荷物を背負っています。 給水ポイントが無いので、とにかく水、そして欲望(アルコール)の重さがネックとなりました。 次の本谷山までは1時間程度の行程です。 つらい・・・膝も痛い。 進みながら、計画の変更を考えはじめます。 この重さで蝙蝠岳まではちょっと厳しい。 残念だけれど稜線でのテン泊は諦めて蝙蝠岳までをピストン、そのあと三伏峠小屋でもう一泊しよう。 最小限の装備をアタックザックに詰め込み、本谷山にザックをデポします。 三伏峠小屋~蝙蝠岳ピストンのCTは15.5h。 計算上22:00頃の戻りとなります。 でも南アなら70%で行けるはず。 つまり11.0h、目標は17:00三伏峠小屋着! 次に目指すはCT2時間10分の「塩見小屋」です。 本谷山からは一度大きく標高を下げ、平坦で美しい樹林帯に入ります。 その後は再び緩やかに標高を下げて行き、やがて森林限界に向けた登り返しが始まります。 この登り返しはなかなか堪えます。 ここまで走り通して来たので足がパンパン。 でも遅れを取り戻さなきゃ。 左から仙丈ヶ岳・甲斐駒ヶ岳・間ノ岳・農鳥岳・・・ おお~、雲一つない快晴だ!! 営業は来シーズンからとなります。 ここで、別室にいた先行パーティーを追い抜きました。 ここからのCTは1時間20分。 息が切れるようになり大きくペースダウン。 でも休まない。 天狗岩付近でN氏に道を譲っていただき、先を急ぎます。 振り返ると塩見小屋が小さくなっていました。 中ア・北アも良く見えています。 小河内岳~三伏山~本谷山。 そして兎岳~荒川岳が見え始めます。 澄み切った秋空に稜線がクッキリ。 仙塩尾根が見えてきた! 塩見岳直下の岩場に取り付きます。 難易度は高くありませんが、北アのようなお助けクサリ等は設置されていません。 三点支持でしっかりと登ります。 東峰に立っているのはT氏のようです。 本谷山からのCTは5.5h(11:50着予定)だったので、ここまでに4h近くの貯金が出来ました。 少しのんびりしてから先に進もう。 間ノ岳の横から北岳もちょこんと見えてる(^^) う~ん、満足! その右端に見えているピークが蝙蝠岳です。 ゆるゆるな尾根ですぐそこじゃないか!と思ってはいけません。 ここからがCT2時間40分、なかなかの長さで意外とアップダウンもあるのです。 もっと皆とのんびりしたかったけれど、8:30、蝙蝠岳へと向かいます。 ツルツルと滑るのでここは慎重に通過。 北俣岳へと進みます。 8:40、北俣岳分岐。 仙塩尾根との分岐点です。 今年もとうとう歩くことのできなかった仙塩尾根・・・。 来年こそは! 雪がつくと少々厄介そうな通過点であると言えそうです。 足元は砂礫帯へと変化、しばらくの間ゆるやかに標高を下げて進みます。 またあの稜線からこちら側を眺めてみたいな・・・。 夢心地のまま砂礫帯を進みます。 ここは急がずにゆっくりと歩くんだ。 このあと小さなアップダウンが始まります。 こちら側から見る塩見岳は見慣れていないのですぐには同定出来ないかもしれないな。 その後やや標高を下げて行きます。 山頂が近づいてくるとドキドキが止まりません。 気持ちがはやってペースが上がってしまい息が切れました。 叫んでOK。 泣いてOK。 「やった!やった!やった~!」 でかい声で叫びながら涙をぽろぽろ流してビクトリーロードを進みました。 9:50、憧れ続けてきた「蝙蝠岳」(2865m)登頂っ!! やったぁ~!! うん、間違いない! ここが南アルプスのどまんなかだ。 荒川岳・赤石岳・塩見岳・仙丈ヶ岳・間ノ岳・農鳥岳・白峰南嶺・富士山に取り囲まれてる。 これが蝙蝠岳の魅力なんだ。 塩見岳~蝙蝠岳で、1時間以上の貯金が出来ました。 しばらく山頂標にもたれかかりながらビールを飲み、無風の山頂を堪能します。 快晴、そして耳が痛い程の無音の世界。 今日は最高だ。 最高の日に訪れることが出来た。 「静寂の音」を聞きながらこの山域に広がっている縦走路を思い浮かべていました。 この場所から朝日と夕日、そして星空を眺めたらどんなに素敵だろう。 体力つけなくちゃ。 仙塩尾根~蝙蝠岳~二軒小屋~白峰南嶺~北岳なら車の回収も楽だし、3泊あればどうにかなりそう。 「なんで山に登るの?」って自問しても、自分を納得させられる答えですら見つけられそうに無い。 ただ、こういう場所に身をおくと「やりたくないこと」だけはよく見えてくる。 どんな頂に立ったって特別何かが見つかるわけじゃないしね。 結局、山頂には何にも落ちてはいないんだよ。 でもね、次から次へと出てくる日々の欲求を満たして行くだけの毎日は、とても忙しなくて不幸なことだと感じてる。 もっと単純で純粋な悦びを求めてこれからも登山を続けられればいいなと思う。 簡単だけど「山が好きだから登ってる」。 これが自分なりの答えかな。 また戻ってくるよ。 とても素敵で濃密な時間をありがとう! さあ、この美しい蝙蝠尾根を再び辿ろうか。 しっかりとこの目に焼き付けながら。
by yama-nobori
| 2015-10-26 12:43
| 登山 2015
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